研究課題/領域番号 |
20K04996
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
渡邉 大助 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (80462753)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 顕微分光 / 繊維分析 / 科学捜査 |
研究開始時の研究の概要 |
科学捜査における繊維鑑定では、顕微鏡による色調の観察が不可欠である。これは従来分析者の目視判断に頼る部分が大きいが、より客観的な科学捜査のためには、分光スペクトルによる比較が望ましい。 本研究では、全国に広く普及している各種顕微鏡の接眼レンズ部に取り付けることで、安価かつ簡便にスペクトル測定を可能とする小型分光装置の開発を行う。これにより、従来目視判別に頼ってきた繊維試料の色調、偏光色、蛍光色等の判別を、スペクトル比較に基づく客観的な識別へと高度化させることが可能となる。
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研究実績の概要 |
研究3年目の本年度は、昨年までの応用範囲をさらに広げ、研究初年度に試作した装置を用い、犯罪鑑識用の繊維標本に収録されている様々な素材、様々な色の単繊維に対して、本手法の有用性を評価した。本装置はユニットとしての独立性が特徴であり、既存の顕微鏡の種類を選ぶことなく、従来の光学顕微鏡に取り付けることで顕微吸光スペクトルの測定が可能となり、偏光顕微鏡に取り付けることで顕微偏光スペクトルの測定が可能となることが昨年度までの研究で明らかとなっている。 さらに本年度はこれを市販の蛍光顕微鏡に取り付けることで、顕微蛍光スペクトルの測定を試みた。本装置を用いて様々な種類の単繊維について、380nm励起、470nm励起、540nm励起のそれぞれで蛍光スペクトルを測定したところ、いずれも感度、再現性ともに良好な結果が得られ、市販のスペクトル測定機能付き蛍光顕微鏡で測定したスペクトルと本質的に同等の結果が得られることが確認された。蛍光はいずれの繊維も類似した色調になることが多く、目視での識別が困難であるが、本装置を用いてスペクトルを測定することで、目視での判別が困難な繊維についても精密な客観的識別が可能となった。海外の法科学的繊維分析のガイドラインでは、紫外可視吸光に加えて偏光観察、蛍光観察が識別に有用であるとして推奨されているが、本年度の研究成果により、このガイドラインに準拠したスペクトル測定が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初の目的は、スペクトル測定機能を持たない通常の光学顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡に対して、本研究で製作したユニットを取り付けることで、様々な種類の単繊維に対して顕微吸光スペクトル、顕微偏光スペクトル、顕微蛍光スペクトルの測定を可能とすることにあり、その目的は概ね達成されたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、本研究の当初の目的は概ね達成されたが、一方で新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、学会発表、特に国際学会での成果発表が未だなされていない。そこで研究期間を1年延長し、成果発表の場を広く求める予定である。研究内容自体についても、当初の対象であった単繊維については、本研究の有用性が確認されたので、樹脂や塗膜等の、その他の犯罪鑑識において重要な微細試料に対しても、本手法の応用可能性を検証する予定である。
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