研究課題/領域番号 |
20K05002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
成瀬 央 三重大学, 工学研究科, 教授 (60402690)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 光ファイバ / ブリルアンゲインスペクトル / 計測 / ひずみ / ニューラルネットワーク / モデル / 非負値行列因子分解 / ひずみ計測 / 減災 / 構造物 / 信号解析 |
研究開始時の研究の概要 |
インフラ設備など、構造物の災害の急増が大きな社会問題になっている。さらに現在、急速に進む少子高齢化による労働力人口の減少は、インフラ設備を安全に維持管理することをより困難にしていく。本研究では、構造物の損傷の早期検出や効率的な維持管理を可能とする、光ファイバをセンサに用いた光ファイバひずみ計測の高信頼化と高速化を図るために、分布的に(光ファイバに沿って多点で)観測される信号であるブリルアンゲインスペクトル(以下、BGS)の、機械学習に基づく革新的な解析方法を開発する。
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研究実績の概要 |
光ファイバ内で生じるブリルアン散乱光スペクトル(ブリルアンゲインスペクトル:BGS)の周波数がひずみに比例してシフトする現象に基づく光ファイバひずみ計測は、長距離にわたる分布計測が可能である。この特長は、現在、社会問題となっている老朽化インフラ設備などのモニタリングに適しており、この計測をそのモニタリングに応用するための研究開発が進められている。これまでの方法では、ひずみ計測位置を中心とするBGS観測区間でひずみは均一であり、暗黙のうちに、観測されるBGSはローレンツ関数で近似されることが仮定されていた。局所的に(観測区間内で)変化するひずみはBGSを変形させるため、ひずみ計測における誤差が大きくなる問題があった。この問題を克服するために、本助成事業では、以下の2課題について研究を進めている。 (1) 非負値行列因子分解を用いたBGS観測区間内の最大・最小ひずみの抽出 (2) 不均一ひずみ下のBGSに基づくニューラルネットワークを用いたひずみ計測 (1)は、構造物において最も損傷が起こっている可能性の高い、最大(引張り)・最小(最大圧縮)ひずみを抽出する方法についてのものである。従来の方法は、観測区間内の平均的なひずみの計測であるため、局所的なひずみ情報を得ることができなかった。この問題に対し、昨年度に検討した非負値行列因子分解による最大・最小ひずみ抽出方法の精度向上に向けてスパース制約を導入し、その導入効果を調べた。 (2)は、不均一下のBGSを用いてニューラルネットワークを訓練することによって、不均一なひずみをも高精度、高速に計測する方法に関するものである。今年度は、数値シミュレーションによって、BGSの観測条件、BGSの基本形状、BGSに含まれるノイズ、計測されるひずみにかかわるパラメータが計測誤差に与える影響を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 非負値行列因子分解を用いたBGS観測区間内の最大・最小ひずみの抽出 スパース制約を導入した非負値行列因子分解による、最大・最小ひずみ抽出ソフトウェアを開発し、数値シミュレーションによって、スパース制約導入効果を調べた。本方法では、非負値行列因子分解を用いて観測されたBGSが、ひずみに対応付けられた要素BGS(基底ベクトル)の線形結合によって近似される。階段状(離散的)に変化するひずみに対して、スパース制約導入によって抽出精度は向上した。このひずみ下で生じるBGSは、少数の基底ベクトルで表わせるからである。それに対して直線的、放物線状など連続的に変化するひずみについては劣化した。これは、これらのひずみ下のBGSの分解に必要となる非常に多数(無限個)の基底ベクトルが、スパース制約によって少数の基底ベクトルに集約されたためである。当初の目的が達成されたので、本課題については今年度で終了する。 (2) 不均一ひずみ下のBGSに基づくニューラルネットワークを用いたひずみ計測 BGS解析にニューラルネットワークを用いたこのひずみ計測は、ニューラルネットワークに入力するBGSの周波数領域を決定する粗探索と、それに続く、粗探索領域内のBGSを用いた精密計測から構成されている。数値シミュレーションによって、精密計測におけるひずみ計測誤差の特性について調べた。また、集中荷重が作用している真直梁と円環に生じる典型的な不均一ひずみを、数値シミュレーションと実験によって計測した。前者には直線的な変化と、支持点と荷重点でV字状に変化するひずみが、後者では、荷重点でV字状に変化し、それ以外では正弦波状に変化するひずみが形成される。従来のローレンツ関数へのあてはめやニューラルネットワークを用いた計測に比べ、高い精度で計測できることが確認された。この成果を、光ファイバセンサ国際会議で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 非負値行列因子分解を用いたBGS観測区間内の最大・最小ひずみの抽出 本課題については、当初の目的が達成されたので、令和5年度は実施しない。 (2) 不均一ひずみ下のBGSに基づくニューラルネットワークを用いたひずみ計測 今後は、粗探索方法について考案するとともに、それを実現するためのソフトウェアを開発する。そしてそれを用いて、粗探索範囲、BGSに含まれるノイズの大きさなど精密探索に用いられているパラメータが探索に与える影響を調べる。また、粗探索から精密計測までが連動したソフトウェアを開発し、粗探索から精密計測まで、全体としてのひずみ計測特性を調べる。これまでの研究成果を、令和5年度に浜松で開催が予定されている光ファイバセンサ国際会議に投稿する。
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