研究課題/領域番号 |
20K05008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
川端 信義 公立小松大学, 生産システム科学部, 教授 (90126631)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | トンネル火災 / 避難環境 / 縦流換気 / 風速0化 / 煙降下現象 / 早期検知 / 煙拡散 / 安全性評価 / 集中排煙 / 煙制御 |
研究開始時の研究の概要 |
渋滞している道路トンネル内で火災事故が発生した場合、日本では火災近くを無風とし、煙の成層状態を維持し、路面での避難環境を実現することになっている。しかし排煙しないため、時間の経過とともに路面に拡散し避難不可能な状態になるため、早期避難および成層状態の維持は重要な課題である。本研究では、発炎前のくすぶり煙の存在による光量の変化によって火災の早期検知を可能にすること、さらに火災成長期に煙の拡がりをモニタリングすることによって成層状態をより長く維持できる換気制御について検討することによってより早い避難とより長い成層状態を可能にすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は大きく2つの項目に分けられる. 1.縦流風速の変化に対する成層煙の動挙動特性 長さ約16m,0.3m角の正方形断面の火災実験用模型トンネル実験装置を製作し,温度分布の計測や煙降下現象の予備実験を行い,製作した装置で煙降下現象など必要な現象が発生していることを確認した.また,煙の遡上現象のシミュレーションに対しては天井壁内の熱伝導方程式に対する分割幅の大きさが影響し,トンネル内空間に接する分割幅は2mm以下とするのが適切であることを示した.さらに,渋滞車両が存在する場合の実大トンネルに対して様々な縦流風速に対する遡上距離をシミュレーションによって求め,渋滞車両の下流側に火源がある場合とずれている場合によって煙の遡上特性が異なることを示し,それぞれの遡上距離はフルード数によって整理できることを明らかにした.また,延長2200mの馬蹄形断面トンネルに対して発火から15分間の煙挙動の解析を行い,煙濃度分布およびCOガス濃度分布から避難者の避難環境について検討を行った.その結果,10分時から15分時で避難環境は急激に悪化することが明らかになり,より早期の避難が必要であることが分かった. 2.風速0化の効果的な運用法に関する検討 ここでは避難シミュレーションを行って,効果的な風速制御について検討を行う予定であるが,本年度は避難シミュレーションの基礎的なデータである,煙中の避難速度の障害物の影響について実験によって検討を行った.その結果,障害物の存在によって避難速度は低下するものの,障害物の個数による影響はあまりないことが分かった.また,多くの避難者が集まった場合の避難速度の低下モデルや東南アジアなどの多くのバイクがある場合の避難速度について実験によって明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1.縦流風速の変化に対する成層煙の動挙動特性 2022年3月に本学にトンネル火災実証実験室が新設され,模型トンネル実験装置の製作に取り組み,年度後半に予備実験を行い,目的の実験は可能であることを確認した.しかしながら風速や勾配などのパラメータを変更した実験を行うまでには至らなかった.シミュレーションによる検討では,風速,勾配の影響や有毒ガスの影響などについて検討を行い,論文など成果の公表に関しても概ね予定通りである. 2.風速0化の効果的な運用法に関する検討 風速0化の評価の検証に関しては、火災規模が大きい場合や縦断勾配が変化した場合の有効性について拡張して比較検討を行った。しかし1.の項目の模型実験が遅れていることから、実験結果を反映した煙制御システムに関しては未だできていない。 本研究は開始時の3か年計画を1年延長した4か年の計画で経過の時点で、研究全体の約80%の達成度である。
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今後の研究の推進方策 |
1.縦流風速の変化に対する成層煙の動挙動特性 令和4年度の予備実験によって実験装置の不具合(熱電対素線が接触し易い.レーザー光の光量が足らない.)を見つけ出した.令和5年度は熱電対素線の絶縁性を向上させ,レーザーシート照射装置をより高性能の装置に取り換えて実験を行う.模型実験はまず縦流風速が変化する場合の実験を行う.これまでのトンネル火災の煙挙動の特性はほとんどが縦流風速を一定にした準定常状態での特性であった.煙層を縦流風によって制御するためには縦流風速を変化させた場合の動的特性の明らかにすることが望ましい.この縦流風速を変化させた場合の動特性に関いては勾配を変えた場合についても行うことになっている.また縦流風速が一定の状態から急激に0m/sに低下させる場合および周期的に縦流風速を変動させた場合の煙挙動(先端位置及び煙層の厚さ)に関する実験を行い、並行して行うシミュレーションの結果と合わせた検討により、煙の動的挙動特性を解明する。 2.風速0化の効果的な運用法に関する検討 風速0化の問題点は,時間が経過すると煙が降下しはじめ避難環境が急激に悪化することである.この対応としては,適切なタイミングで排煙運転へ移行することと,特に勾配がある場合では縦流風速によって煙降下の発生を遅らすことである.本年度はこの2の項目についてシミュレーションによって検討を行う.さらに,煙降下特性の解明はあまり進んでいないので,模型実験にて煙降下特性(降下位置,降下時間)についてデータを得ることも目的である.
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