研究課題/領域番号 |
20K05036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 前橋工科大学 (2022) 東京都立産業技術高等専門学校 (2020-2021) |
研究代表者 |
宮川 睦巳 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (90469578)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 応力発光体 / 破壊発光 / 累積外力 / 損傷度評価 / コンクリート一軸圧縮試験 / ヒストグラム / CNN技術 / 輝度値ヒストグラム / 損傷度評 / 光機能材料 / 累積外力損傷評価 / Deep Learning |
研究開始時の研究の概要 |
インフラ設備のレジリエンスを強化するうえでもっとも重要なことは,災害直後に被災構造物の健全性を短時間に把握する技術を確立することである.しかしながら,構造物ごとの累積外力の程度を災害直後に一挙に把握することは現状で容易ではない.これは,面的に膨大な数が敷設されているコンクリート構造物に作用した累積外力の程度を短期間に一挙に測定する技術は確立されておらず,構造物に加わるエネルギーと損傷の関係は,現段階で明確になっていないためにある.本研究では累積外力の程度を迅速・簡易に測定し,エネルギーと損傷の関係性を明らかにすることで,構造物のレジリエンス強化に資する健全性評価法を提案する.
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研究実績の概要 |
高度経済成長期以降に膨大に敷設されたコンクリート構造物を主とする現在のインフラ設備は,老朽化や大型台風などの自然災害の増加によって,同時多発的に異常な外力に曝されており問題視されている.そのような被災構造物の深刻な損傷を災害直後に短時間で把握し,健全性を評価することは都市機能を維持するうえで急務な課題である.しかしながら,災害直後に構造物に累積した外力の程度を一挙に把握することは困難である.ここで求められているのは,受けた累積外力の程度を迅速かつ簡易的に測定し,構造物に加わるエネルギーと損傷の関係性を即時に評価することにある.このため,膨大な数のコンクリート構造物のレジリエンス強化に貢献するような評価方法を確立し,新たな防災技術を開発することが望まれている.この目的のため,本研究では引張・圧縮などの機械的外力を加えることで生じた応力集中により発光する性質を持つ応力発光体(Mechanoluminescence以降,MLと称す)を用いことで,構造物が受ける累積外力を簡易的かつ広範囲に測定し,構造物の損傷度を評価するための手法の開発を目指したものである.これによりインフラ設備の長寿命化やLCC(Life CycleCost)抑制に貢献ができると考える. 前年度までの課題として,①実験のデータ不足と②動画データから応力発光エネルギー算出のシステム化があげられた.①について,東京都立産業技術高等専門学校,群馬工業高等専門学校にて共同実験を進めることで十分な実験データを取得することができている.②について,従来では複数の解析ソフトを駆使しながら何段階もの手順を踏んでいたため煩雑であった.このため,LabVIEWを用いた解析ソフトを開発(以降,MLAnalyzerと称す)することで,大幅な時間短縮と信頼性の向上を図ることができた.また,これらの得られた成果を学会にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者からの共同実験等により概ね順調に行われている.また,MLAnalyzerを開発したことにより,解析時間の大幅な時間短縮と信頼性を向上することができた.
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今後の研究の推進方策 |
コンクリート供試体の一軸圧縮試験に加えて,新たに4点曲げ試験を実施することで曲げ引張破壊およびせん断破壊の破壊発光の観察を行うことできた.これにより,実験データは十分に得られている.今後は,実験データを整理して累積外力による損傷度評価の検証を行う予定である.その上でデータ解析を行うためのMLAnalyzerのバージョンアップにて利便性の向上を目指す.具体的には①時刻ごとの最大発光の位置を取得する.これにより,き裂の先端位置の特定と成長の観察が可能となる.②マスク処理を細分化して最大発光の位置を取得する.これにより,複数のき裂の特定とき裂の成長による結合を観察できると考えられる.また,AIを用いて破壊発光から損傷箇所および損傷度を評価する研究については,引き続きアノテーション作業を行い精度向上を目指す. 懸案事項として,従来の応力発光体を提供していただいていた企業が試料を生産中止してしまった.しかし,研究協力者である産総研より紹介を受けた新たな企業から試料を提供していただいたため,性能評価試験を行う予定である.
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