研究課題/領域番号 |
20K05103
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
|
研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
笠置 映寛 山陽小野田市立山口東京理科大学, 共通教育センター, 准教授 (10310947)
|
研究分担者 |
山本 真一郎 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (10514391)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 金属粒子 / 異方的形状粒子 / 導電率 / 誘電率 / 透磁率 / 反射係数 / 透過係数 / 複合材料 / 金属粒子複合材料 / 電磁気特性 / 金属パターン周期配列材 / 電磁環境対策材 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,誘電率と透磁率が同時に負の値を示すような自然界にはない特徴を有する人工材料(金属パターン周期配列材等)を,電磁環境対策材に活用する研究が活発に行われている。我々はこれまで,人工材料が示す特異な誘電率・透磁率特性を,粒子分散複合材料により実現する研究を行ってきた。本研究では,マイクロ波からミリ波帯で利用する高機能電磁環境対策材の実現を目指し,粒子の形状効果を活用した金属粒子複合材料を開発することを目的とする。そして,開発した複合材料と人工材料を積層化した材料の反射・透過特性の解析から,高機能電磁環境対策材を実現するための知見を得る。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は,マイクロ波からミリ波帯で利用する広帯域電波吸収体,周波数選択性電磁遮蔽材といった高機能電磁環境対策材の実現を目指し,粒子の形状効果を活用した金属粒子複合材料を開発することである。 針状FeCoナノ粒子複合材料の透磁率スペクトルの制御を目的に,アスペクト比の異なる2種類の粒子を含む複合材料の電磁気特性について検討を行った。大きいアスペクト比を持つ粒子量の増加にともない,透磁率の分散周波数は高周波にシフトし,低周波透磁率が減少する傾向が観測された。2種類の粒子の割合を調整することで,透磁率の分散周波数,低周波透磁率を調整できることがわかった。 低粒子濃度で金属特性を示す複合材料シートの実現に向け,扁平状Cu粒子複合材料,及び扁平状AgコートCu粒子複合材料の導電率・誘電率特性について昨年度にひき続き検討した。Cu粒子表面をAg被覆することで,複合材料の導電性が高まること,パーコレーション濃度が下がること,低い粒子濃度でドルーデ型誘電率分散が得られ10GHzを超える周波数まで負の誘電率を示すことがわかった。得られた知見をもとに,複合材料シートを作成し,反射・透過係数測定(自由空間法)を行った。粒子濃度がパーコレーション濃度を超えるAgコートCu粒子複合材料シートにおいて金属的反射・透過特性が観測された。 金属粒子複合材料シートと誘電体あるいは金属を重ねた積層材の反射・透過特性について,計算による検討を行った。AgコートCu粒子複合材料シートとアクリル板からなる積層材の反射・透過特性について,計算値と測定値が一致することを確認した。そして,周波数選択性電磁遮蔽材の実現に向けた複合材料の粒子濃度,厚み等の条件について検討した。また,針状FeCoナノ粒子複合材料を用いた吸収体の実現に向け,吸収特性における粒子濃度,及び厚みの依存性について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度までに計画に遅れが生じたため(新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響),その遅れた項目を当初の2022年度計画に加えて実施した。 2022年度の計画は,(1)Cu粒子複合材料,AgコートCu粒子複合材料,針状FeCoナノ粒子複合材料の比誘電率・比透磁率特性を検討すること,(2)これらの複合材料シートを作成し,反射・透過特性について検討すること,(3)金属粒子複合材料シートと金属パターン周期配列材からなる積層材の構成について検討し,反射・透過特性を評価することであった。 (1)については計画通りに進めることができ,複合材料シートの作製,及びそれらの反射・透過特性の検討に向けた知見を得ることができた。 (2)についても,概ね計画に沿ってすすめることができたが,複合材料の粒子濃度,シートの厚みといった条件のより詳細な検討が必要になったため,複合材料シートの作製,反射・透過係数測定に時間を要し,加えて計算による検討を行ったために進捗がやや遅れた。 (3)について,(2)の結果をもとに金属粒子複合材料シートと誘電体あるいは金属を積層した材料の反射・透過特性についての検討を先行して行っため,当初予定していた金属粒子複合材料シートと金属パターン周期配列材からなる積層材の反射・透過特性の検討までには至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
マイクロ波からミリ波帯で利用する広帯域電波吸収体,周波数選択性電磁遮蔽材といった高機能電磁環境対策材の実現を目指した金属粒子分散複合材料の電磁気特性の検討として,今後,以下のことを実施する。 (1) 扁平状Cu粒子複合材料,扁平状AgコートCu粒子複合材料,及び針状FeCoナノ粒子複合材料について,比透磁率・比誘電率の測定値をもとに反射・透過特性をシミュレーションし,その結果をもとに,これらの複合材料シートの作製を行う。そして,これらの反射・透過係数測定を自由空間法により行い,各複合材料シートの反射・透過特性,及びそれらにおける粒子形状効果について検討する。 (2) 金属粒子複合材料シートと金属パターン周期配列材からなる積層材の構成について検討する。そして,金属粒子複合材料シートと金属パターン周期配列材からなる積層材を試作し,反射・透過係数測定を行うとともに,積層材の反射・透過特性,吸収特性を解析し,高機能電磁環境対策材の実現に向けた知見を得る。
|