研究課題/領域番号 |
20K05113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
轟 章 東京工業大学, 工学院, 教授 (50211397)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 3Dプリンタ / 複合材料 / 粒子法 / ボイド / 3Dプリンタ / 複合材 / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
熱可塑性樹脂系3Dプリントに用いられる溶融積層方式によって,連続炭素繊維複合材の3Dプリント成形が可能となった.しかし,連続炭素繊維束間に生じるボイドやフィラメント間融合不足が問題とされている.これらを避けるための成形最適化に成形シミュレーション手法の確立が望まれる.しかし,固体繊維を含有する高温の樹脂流動を解析する適切な手法が存在しない.本研究では,融解と凝固を扱うエンタルピを考慮した複合材粒子を用いる粒子法による樹脂流動シミュレーションを開発し,繊維方位の異方性や凝固樹脂の影響を考慮した改良を行うと同時に,実験的に検証し,ボイド発生と融合度の適正をシミュレーションすることを目的としている.
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研究実績の概要 |
2022年度は3次元のMPS法を用いて3Dプリントの融合状態をシミュレーションする予定であった.しかし,3次元で計算を実施すると,非ニュートン流体の粘性計算において,陰解法の粘性項の計算が収束しにくい事態が発生し,1例の計算に数カ月を有することが明らかになった.このため,2次元のMPS法の解析を用いてパス融合時のパス間のボイド発生メカニズムの解析を実施し,それと並行して3D解析の収束遅延の原因調査を実施した.3D解析には時間がかかるため,数回しか実施できなかったが,既存パスが完全な個体のままの壁粒子であると,時間はかかるが解析が可能であり,既存パスが固体から液体になる複合材粒子であると粘性項の陰解法計算が収束しないことが判明した。これは,粘性の陰解法計算において,低温の固体粒子の影響で指数関数的に急変する粘性の影響を受けているためと判断された.そのため,いったん3D解析を中断し,最終年度に修正を行うこととした.また,2次元のシミュレーションでは,既存パスに隣接して印刷するパス融合時に,押し出されてくる固体フィラメントにかかる圧力の計算を実施した.液体の粒子が固体粒子によって流れが阻害されると,このパス融合時に液体部分の圧力上昇が発生してフィラメントに高い反力を与えていることが明らかになった.このために,フィラメント送り機構で滑りが発生することがか確認された.フィラメント送りの滑りの影響を入れて解析すると,現実のパス間ボイドと同様のボイドが形成されるとことが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の実績で述べたように,パス間融合において,融合時の圧力上昇が原因でフィラメントに滑りが発生することは2D解析によって確認できたが,3D解析において,既存パスを固体とすると解析が可能であるが,粘性項を同じナイロンとして解析する必要がある複合材粒子にすると,粘性項の陰解法が収束しないという問題に突き当たったため,この点の回避が必要である.低温部での指数関数的に上昇する関数形を変えることで対応が可能と思われるため,最終年度はこれを達成したい.
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今後の研究の推進方策 |
既に述べたように,3D解析において,粘性項を陰解法で求める際,既存の固体パスに近づく液体粒子との粘性計算が,粘性の急激が変化で収束しない現象が発生している.このため,数個の固体複合材粒子に数個の液体粒子が接近する簡単なモデルを用いて収束しやすい近似的粘性モデルを構築し,これを用いて3D解析が実行できるようにする.
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