研究課題/領域番号 |
20K05144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
窪田 啓吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (40586559)
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研究分担者 |
陳 致堯 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 産総研特別研究員 (20773435)
松本 一彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (30574016)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 電解質 / イオン液体 / 溶融塩 / 電池 / 金属イオン電池 / カリウムイオン電池 / 二次電池 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では蓄電池として既に実用化されているリチウムイオン電池、およびポストリチウムイオン電池として注目されている各種金属カチオン電池において、溶媒を用いず電解質塩のみで構成される電解質を開発する。これは溶融塩として難燃性・低揮発性であることに加え、従来の電解液には必ず付随する溶媒由来の短所を持たず、さらに溶媒に薄められないことで電極間移動イオンの濃度が極限まで高く、高速充放電に対応した優れた性能が期待できる。さらに電解質塩に注目して行う本研究の成果を基盤として、電解液の特性と電解液の構成要素である電解質塩と溶媒それぞれの寄与を明らかにし、電解質全般の開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
溶媒を用いず、電解質塩のみで構成される電解質の開発は、これまで電解質には溶媒が不可欠であるという暗黙の前提を覆すものである。溶媒は単体では固体のためにイオン電導性がない電解質塩を溶解・イオン乖離させ、電解質として機能させるために必須であるが、同時に有機溶媒では可燃性など溶媒由来のデメリットも電解質に付帯させてしまう。本研究は電解質塩のみの機能を見出すため、また溶媒のない高濃度電解液のハイエンドとなる電解質の開発のための指標となるものである。 本研究において、最初の対象となる金属カチオン電池にはカリウムイオン電池を選択した。この場合、電極間移動イオンはカリウムカチオンであり、電解質塩はカリウム化合物を示す。電解質塩のみで構成された電解質は、溶媒を含まないために電池内で電極間移動イオンの濃度が偏ることがない。そのため、電極間移動イオンの欠乏による通電可能電流の限界がない。また、金属負極を用いる場合には電極近傍の電極間移動イオンの欠乏が起きないためにデンドライト発生の抑制が期待できる。これらの特性から、大電流による高速充放電が可能な金属イオン電池の電解質として期待できる。 電解質塩のみで構成された電解質の開発課題として、電解質塩単体で室温で液体になるものがほとんど存在しないことが挙げられる。そこで本申請者らは電解質塩同士を混合することで融点を下げ、電池の実用的に可能な温度域で溶媒なしで液体となる電解質塩の開発を試みた。これは前述した電解質塩のみのメリットに加え、イオン液体の普遍的特性である難燃性と低揮発性も兼ね備えるために安全性の向上も期待できる。最終年度はこの課題に取り組むことを目的とし、カリウムイオン電池用にカリウム塩のみで構成された電解質を探索し、50℃付近で液体になる電解質を調整した。今後はこれの物性測定とこれを用いた電池試験を行う予定である。
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