研究課題/領域番号 |
20K05180
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26060:金属生産および資源生産関連
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高崎 康志 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (50282158)
|
研究分担者 |
金児 紘征 秋田大学, 名誉教授, 名誉教授 (20006688)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 銅電解精製 / アノード不動態化 / ガルバニック腐食 / その場観察 / 不働態化 / 周期的反転電解法 / 高不純物含有粗銅 |
研究開始時の研究の概要 |
銅は様々な分野で利用されている重要な金属である。近年原料となる銅鉱石中の不純物量は増加傾向にある。また、鉱石以外の原料としてリサイクル原料も利用されている。資源循環型社会の実現にはリサイクル原料の利用が望ましいが、扱う不純物量が増加する。不純物量が増加すると、銅製造の電解精製(電気分解)時に銅陽極の不働態化(不溶性の不純物が陽極表面を覆い電解反応が停止する)が生じる。そのため不純物の多い銅陽極の不動態化抑制技術は重要である。本研究では、不動態現象の要因となる反応を直接観察することと、周期反転電解法により不動態化の抑制を試み、電流印加法の違いが不働態化にどのように影響するのか調査する。
|
研究実績の概要 |
一般的な銅製錬の電解精製工程では、粗銅(アノード)中の不純物量が増加すると電解中に不溶性物質がアノード表面に蓄積し銅の溶出反応が停止する不動態化が生じる。本研究では、銅電解精製における粗銅を銅と不純物のガルバニック対とみなし、通電中の電気化学計測と同時に試料表面の直接観察を併用して不働態化現象を解明し、さらに不動態化を抑制する方法を見出すことを目的としている。 実験は銅線に各種金属線を巻き付けた銅電極試料(巻線)を硫酸銅または硫酸酸性硫酸銅水溶液に浸漬し、試料上部に実体顕微鏡を設置して通電中の電気化学計測を行うとともに試料表面をその場観察した。本実験法によりアノード溶解反応への不純物の電気化学的な影響を簡便な方法でかつ、視覚的に捉えることが可能である。不純物金属は、カソード金属として金、白金、パラジウム、銀、アノード金属としてスズ、カドミウム、亜鉛を選択した。一部の金属については、銅線にメッキを施した試料を用い、本実験方法との比較を行った。 各金属線の電位測定を行った結果、標準電極電位と比較して金とパラジウムの高低が逆転し、本溶液中でパラジウムは銅を溶解させやすい可能性が考えられた。巻線を用いて電位測定を行った結果、巻線の電位は銅の電位に近づき、その電位の順は巻いている金属線の標準電極電位の順と同じであった。巻線およびメッキ電極のサイクリックボルタンメトリーを行った結果、電極の分極特性や起こる反応は類似していたが、巻線とめっきでは巻線の方が目視できる変化は明確であった。 以上の結果より、本実験方法は簡便で電気化学的な挙動を測定しながらその場観察することが可能であり、さらに電気化学測定結果には表れない電極表面の変化などを明確に観察できることが見出された。今後は各種金属だけでなく合金なども調査し、不動態化に悪影響を及ぼす要因などを見出し、より最適な電解条件を探索する。
|