研究課題/領域番号 |
20K05204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
澤田 真一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員 (70414571)
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研究分担者 |
清藤 一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 主任技術員 (50446457)
長谷川 伸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員 (60354940)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | エタノール脱水 / 分離膜 / 放射線グラフト / 水透過性 / 高分子分離膜 / 浸透気化 / 正浸透 |
研究開始時の研究の概要 |
無水エタノール製造時のエタノール脱水濃縮は、水を選択的に分離・透過する膜を用いた浸透気化法で行う。従来膜の場合、水分離率が高いほど水透過率は低く、脱水に長時間を要する問題があった。そこで水分離率・水透過率の相反関係を打破するため、本研究では、放射線非対称グラフト法で極性基層と荷電基層が連続した二層接合膜を創製する。荷電基と対イオンが水和する荷電基層は、極性基層よりも浸透圧は遥かに高く、極性基層から荷電基層へと水の正浸透が自発するので水透過率は向上すると期待した。極性基・荷電基グラフト鎖の種類と導入量を検討することで、高い水分離率と水透過率を併せ持つ二層接合膜を創出し、高速脱水を達成する。
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研究実績の概要 |
本研究では、放射線非対称グラフト法を駆使し、親水性の強さが異なる二層が接合された高分子膜を作製し、この膜を用いた浸透気化試験によって含水エタノールの高速水透過を達成することを目的とした。 はじめにエタノール脱水のための浸透気化試験装置を設計・製作した。有効膜面積0.79cm2の2室型ガラスセルの中央部に膜を配置し、セルの上流室に含水エタノールを注入し、下流室を真空ポンプで脱気する仕様とした。下流側の膜面で蒸発した液体を回収するため、-50 ℃に保持したコールドトラップを設置した。 次いで、親水性グラフト鎖の種類が水透過性に及ぼす影響を調べるため、通常の放射線グラフト法で親水性高分子膜を作製した。具体的には、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)基材膜に対して、ポリアクリル酸(pAA)、ポリビニルピロリドン(pVD)、ポリスチレンスルホン酸(pSS)をグラフト鎖として導入した膜を得た。 スルホン酸基の対イオンがH+のpSSグラフト膜を用いて、濃度60wt%の含水エタノールの浸透気化試験を行った。水透過率は6.5 kg/m2/hであり、回収液のエタノール濃度は39wt%と高く水分離性は低かった。次に同じ膜の対イオンをNa+にしたうえで浸透気化試験を行ったところ、水透過率は5.8×10^-2 kg/m2/hと非常に小さくなったが、回収液のエタノール濃度は僅か2.9wt%と低く、水分離性は飛躍的に向上した。 今後は、データ再現性を検証するとともに、水分離や水透過に適したグラフト鎖を検討したうえ、含水エタノールの高速水透過に適した高分子膜の設計を進める予定であった。しかしながら、研究代表者が令和4年4月1日から文部科学省に出向するにあたり、研究活動の継続が困難となったので本研究課題を途中で廃止した。
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