研究課題/領域番号 |
20K05219
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
楊 國輝 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (60709707)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 二酸化炭素 / 水素化 / カルボニル化 / エタノール / ゼオライト / タンデム反応 / ジメチルエーテル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では二酸化炭素(CO2)をC1化学的な原料として、新規エタノール合成ルートを実現するために、その触媒および反応ステップの探索を目的とする。斬新な二酸化炭素と水素からエタノールまでというタンデムな反応ルートを提案し、厳密な触媒化学に規定されたエタノールの生産ルートをCO2から実施し、大量にCO2を化学転換できる新規ルートの開発を目指す。これに合わせて、触媒設計、触媒性能テスト、触媒構造解析と反応メカニズム分析、触媒反応器の改良を行う。
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研究実績の概要 |
先行研究により、二酸化炭素を原料として、合成ガス(H2+CO)と酢酸メチル(MA)を経由し、非石油基高純度エタノールを合成できる有望な実用化ルートを実現した。しかし、このタンデム合成ルートの鍵であるジメチルエーテル(DME)のカルボニル化反応段階は、ゼオライト触媒の低い活性と安定性の制限を受けている。今年度の研究には、高価かつ複雑なテンプレートを使用せずに、自己組織化ナノモルデナイト(nano-MOR)ゼオライトを構築するため、容易な阻害剤補助合成ストラテジーを開拓した。特定的な阻害剤を用いて結晶成長方向を選択的に制御することにより、70nmの結晶直径しかないナノフィラメントMORゼオライトを成功裏に合成した。自己組織化ナノMOR触媒は、DMEカルボニル化反応において非常に優れた触媒性能を示した。空時収率(STY)について、従来の楕円形MOR(ES-MOR)[1368 mmol/(kg・h)]と比較すると、ナノフィラメントMOR(NF-MOR)はより高い値[3780 mmol/(kg・h)]に達成した。MOR触媒と自己還元Cu-ZnO/SiO2(CZ/SiO2)触媒を組み合わせ、デュアルベッド触媒システムを構築し、エタノールの一段階合成を実現した。新たなNF-MOR&CZ/SiO2の組み合わせにより、従来の方法と比べて約4倍の高いSTY[1800 mmol/(kg・h) vs. 476 mmol/(kg・h)]が得られた。本研究で開発された自己組織化ナノMORゼオライト合成ストラテジーは、C1炭素小分子(CO、CO2)から高付加価値化学品への触媒プロセスの実用化に向け、高性能ゼオライトの合成方法を開拓した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究において、先行研究で開拓された二酸化炭素を原料とする高純度エタノールの合成ルートにおける課題を克服し、目標を大きく上回る成果を得ることができた。特に、タンデム合成ルートの中核であるDMEのカルボニル化反応におけるゼオライト触媒の活性と安定性の向上に焦点を当てた。研究の一環として、高価かつ複雑なテンプレートを使用せずに自己組織化ナノモルデナイト(nano-MOR)ゼオライトを構築するための阻害剤補助合成ストラテジーを開発した。この手法により、結晶成長方向を選択的に制御し、直径わずか70nmのナノフィラメントMORゼオライトを成功裏に合成した。この自己組織化ナノMOR触媒は、DMEカルボニル化反応において非常に優れた触媒性能を示した。さらに、新たなNF-MOR&CZ/SiO2の組み合わせにより、従来の組み合わせと比較して約4倍の高いエタノールの空時収率(STY)が得られた。本研究により、高性能ゼオライトの合成手法において大きな進歩を達成した。今後は、これらの成果を応用してエタノール合成の実用化に向けた更なる研究や産業への展開を目指していくとなる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は予定を大きく上回る成果を達成した。今後は、さらなる実用化に向けて以下の推進方策を考えている。 ① ゼオライト触媒のさらなる最適化: DMEのカルボニル化反応におけるゼオライト触媒の活性と安定性をさらに向上させるため、材料設計や合成条件の最適化を行う。触媒の物理的・化学的特性を精査し、より効率的な反応条件の確立を目指す。 ② エタノール合成プロセスの実用化に向けた取り組み: CO2を原料とするエタノールの合成プロセスをスケールアップし、工業的な実用化に向けた研究を進める。経済性や環境負荷などの実用化における課題を評価し、最適なプロセス条件を探求する。 ③ エタノール以外の高付加価値化学品への応用: 研究で開発した触媒や合成手法を、エタノール以外の高付加価値化学品の合成へ応用する。新たな触媒材料や反応プロセスの開発を行い、持続可能な化学工業の推進に寄与する。 ④ 産業との連携と技術移転: 研究成果を産業界との連携を通じて実用化につなげるため、産業パートナーシップの構築を重視する。産業界のニーズに応えるための技術移転や共同研究の促進を行い、研究成果の実用化と市場への展開を加速させる。 これらの取り組みにより、より持続可能な化学合成プロセスの実現や高付加価値化学品の開発に貢献する。
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