研究課題/領域番号 |
20K05243
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
木島 龍朗 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50272084)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | フェロセン / 4級アンモニウムイオン / Bola型界面活性剤 / 粘性液体 / 棒状ミセル / 有機塩 / レドックス応答性 / 会合挙動 / レオロジー特性 / 棒状ミセル構造 / 非ニュートン流体 / 界面活性剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、フェロセンを核としたBola型フォームである二鎖型界面活性剤による、アニオンおよびカチオン存在下での会合体形成挙動を電気化学反応により ”on-off” することで、ダイナミックな構造制御および物性制御をめざす。目的化合物であるフェロセン修飾二鎖型界面活性剤から形成される自己組織化会合体が、外部刺激によって構造体そのものや溶液物性を制御されれば、可溶化された香料や薬物の放出制御,溶液粘性の可逆的制御による動力伝達装置(クラッチ)への応用などが期待される。本研究課題では、その可能性について評価を行う。
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研究実績の概要 |
前年度までに合成に成功した、1,1’-Ferrocene-bis(undecyltrimethylammoniumbromide)に加え、対イオンとしての有機塩による粘性検討とフェロセンのレドックス応答性を利用した粘性挙動に対する疎水鎖の影響を評価するため、疎水鎖の長さおよび置換基数の異なる三つの新規フェロセン修飾界面活性剤(6-Ferrocenylhexyltrimethylammonium Bromide,1,1’-Bis-(6-ferrocenylhexyltrimethylammoniumbromide, Trimethyl-12-((4-oxo-4-ferrocenylbutanoyl)oxy)dodecane-1-ammoniumbromide)を合成した。サリチル酸ナトリウム(NaSal)を対イオンとして用いた系において粘性を確認することができ、大きなネットワーク構造をSEMにて観察することに成功した。この粘性液体は、SAXSによる構造解析とDLSによる可溶化検討から、約50Åの分子断面構造を構成するSyn型で二つの親水基を外側に向けたミセル様集合体を形成していること、更にKratky plotから棒状ミセルになっていることが示唆された。フェロセンに起因する電解酸化による粘度低下が確認でき、粘性制御が可能であることがわかった。結果としてフェロセン修飾カチオン性界面活性剤は、疎水鎖が長くなるほど分子集合体形成能が高く、置換基数が多くなると親水基部の分子内静電反発により分子集合体形成能が低くなることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに目的としたフェロセン界面活性剤を4種を合成することに成功し、有機塩の添加による溶液粘性の発現やその会合体構造の解析、レオロジー特性などを評価することができた。また、外部刺激による会合体の崩壊-再形成に伴う溶液粘性の変化についても検討し、化学的な酸化還元ではその可逆性(粘性の低下および再増加)を確認している。この粘性液体は、SAXSによる構造解析とDLSによる可溶化検討を行い、Syn型で二つの親水基を外側に向けたミセル様集合体を形成していること、Kratky plotから棒状ミセルになっていることを解明した。今後、更に疎水鎖の異なるフェロセン界面活性剤を合成し、既存のフェロセン界面活性剤を4種との比較を行う予定。
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今後の研究の推進方策 |
電気的な刺激(電解酸化還元反応)による溶液粘性の可逆的制御については、まだ達成していないが、化学的な酸化還元反応を用いることで、その溶液粘性の可逆的制御は達成している。そこで、NaSal(サリチル酸ナトリム)に代わる有機塩(例えば、p-トルエンスルホン酸ナトリウムなど)での評価を計画している。また、界面活性剤中の疎水鎖と塩添加後の構造転移についての関係性についても明らかにする。
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