研究課題/領域番号 |
20K05278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
柳沼 晋 長野工業高等専門学校, リベラルアーツ教育院, 准教授 (80516518)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ナノ構造 / アモルファス合金 / 分散 / スパッタリング / レーザーアブレーション / プラズモン / 溶媒 / イオン液体 / SERS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アモルファス合金の非晶質由来の特性をベースに、イオン液体へのスパッタリングを用いることにより、アモルファス合金ナノ流体を作製する技術を構築し、生成物となるナノ粒子やナノワイヤーの表面増強ラマン散乱(SERS)効果を検証することを目的とする。そのために、二元、三元、四元系の3段階でアモルファス合金系を拡張しながら、ナノ構造の合成・分散化,SERS測定・電磁界解析を行う。本研究で合成・分散化するアモルファス合金ナノ構造体は、構造・物性における10 nm以下のサイズ効果にアプローチできる点で独創的であり、触媒・SERS材料への応用に繋がるという意義がある。
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研究実績の概要 |
本研究は、アモルファス合金の非晶質由来の特性をベースに、イオン液体へのスパッタリングを用いることにより、アモルファス合金ナノ流体を作製する技術を構築し、生成物となるナノ粒子やナノワイヤーの表面増強ラマン散乱(SERS)効果を検証することを当初の目的とした。補助期間を延長して臨んだ本年度は、液中レーザーアブレーションによるナノ流体の作製(昨年度に予備実験を実施)に本格的に取り組んだ。 試料作製のターゲットには、多元系のPd-Cu-SiおよびZr-Cu-Al-Fe合金、対照実験のためPd純金属を選定した。精製水(20 mL、室温)中に沈めた各ターゲットの表面に10秒間、Nd:YAGレーザー(波長1064 nm、パルス幅4-6 ns、繰り返し周波数10 Hz)を集光照射した。生成物の構造・組成は、走査電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて分析した。生成物のサイズ分布は、動的光散乱法(DLS)と紫外可視(UV-Vis)分光光度計による測定から見積もった。Pd基合金とPd純金属のナノ粒子については、Mie理論に基づく効率スペクトルの計算結果と比較しながら、吸収スペクトルを解析した。 その結果、Pd基合金、Zr基合金、Pd純金属ターゲットの共通点として、主要生成物のナノ粒子が水中に分散した状態で得られ、照射エネルギーが高くなると生成効率は向上した。粒径分布の再現性は、Pd純金属では高く、多元系合金では低い傾向にあった。プラズモン共鳴由来のピークは、計算結果と同様、Pd純金属もPd基合金も紫外帯域に見られた。相違点として、Pd純金属の場合はナノ粒子しか観察されなかった一方、多元系合金の場合、極微量ながらナノワイヤーの形成も確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題名であり当初の研究目標でもある電場増強効果の検証までは至らなかったが、水中でPd基およびZr基合金のターゲットにパルスレーザー光を照射してナノ粒子とナノワイヤーを合成・分散化できたことから、「やや遅れている」と判断した。令和5年度から三元系と四元系のアモルファス合金に関する実験を挽回できてきたものの、最初の3年間を通してコロナ禍の影響を受け続けたため、新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等に伴う補助事業期間の再度延長を申請し、承認された。
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今後の研究の推進方策 |
スパッタ法に相補的・相互的なナノ流体作製手法として導入したナノ秒レーザーが有望と判断されたことから、これを用いたアモルファス合金ナノ構造の合成・分散化を継続しながら、SERS測定・電磁界解析へ向けた研究ループを進めていく方針である。今年度は特に、信州大学マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)の共用設備の利用が採択されたため、透過電子顕微鏡(TEM)による原子配列構造・元素分布の観測にも注力し、研究全体の巻き返しを図る。
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