研究課題/領域番号 |
20K05315
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長嶋 剣 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60436079)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 氷 / 二酸化炭素 / 地球温暖化 / 高分解能光学顕微鏡 / マクロステップ / VLS成長 / 氷結晶 / 結晶成長 / 不均一反応 / 高分解能光学顕微法 / 疑似液体層 / 酸性ガス / 干渉計 / 擬似液体層 / 蒸発 / 大気化学 |
研究開始時の研究の概要 |
二酸化炭素濃度上昇による地球温暖化は深刻な問題となっている。温度上昇により雪や氷の蒸発は促進されるが、氷の蒸発速度は未だに見積もりが困難である。特に融点近傍の氷表面は薄い液膜である擬似液体層に覆われ、擬似液体層を介した蒸発が起こる。また、二酸化炭素などの酸性ガスは疑似液体層をより低温で安定に存在させる効果があることがわかってきた。 よって本研究では、高分解能光学顕微鏡によって擬似液体層安定条件の二酸化炭素濃度依存性を調べ、反射型二光束干渉計によって疑似液体層を介した氷の蒸発速度の計測を行う。これにより、二酸化炭素濃度の上昇が氷の蒸発をどの程度促進するのかを議論する。
|
研究成果の概要 |
CO2ガスは地球温暖化を引き起こし、塩化水素ガスは氷の表面での化学反応によりオゾン層の枯渇の原因となるなど、酸性ガスは地球環境に大きな影響を与えている。酸性ガス(CO2、HCl、HNO3)雰囲気下で氷表面を高分解能光学顕微鏡で観察すると、-10℃以下で氷表面に酸性液滴が出現することがわかった。酸性液滴は氷のステップをバンチング化させることで成長を著しく阻害しながら、最終的には氷内部へ埋没してしまう。氷が蒸発する際は埋没液滴の影響により蒸発が促進される。よって、酸性ガスの存在は氷の体積を減らす方向へ作用することがわかった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで氷表面での酸性ガスの化学反応が、オゾン層破壊など環境問題に大きな影響を与えている事が知られている。それに加えて地球温暖化の主要因であるCO2ガスも含めた酸性ガスは、氷表面に吸着することで酸性液滴の出現を促し、氷の水蒸気からの成長を著しく阻害し、氷の蒸発を促進させることがわかった。これまで氷の成長・蒸発について大気微量成分の影響は考慮されておらず、地球環境における氷の存在量の予測が過大評価されている可能性を示唆する結果である。
|