研究課題/領域番号 |
20K05316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松山 秀生 北海道大学, 理学研究院, 特任准教授 (50374187)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Pd / SrTiO3 / 超薄膜 / スピン偏極 / STM / Cu / スピン / 強磁性 / 走査トンネル顕微鏡 / トンネル顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
パラジウム(Pd)は磁性をもたない貴金属であるが、近年単結晶Pd薄膜の特定の膜厚において室温で強磁性が発現すると報告された。しかし、磁気転移温度、磁気異方性など不明な点が多く、実験データの蓄積が期待されている。一方、この現象を説明する理論が提案されているが、この理論では強磁性が発現する膜厚から1原子層ずれるだけで非磁性になることが予想されている。しかし、これまでの実験では原子1層の精度の議論はできなかった。そこで原子レベルで平坦な理想的なPd薄膜を作製し、その磁性をスピン偏極走査トンネル顕微鏡(SP-STM)を用いて評価し、その磁性とナノ構造の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
Pd(001)超薄膜が強磁性を発現すると報告した慶應大グループと同様の手法でPdの成膜を様々な条件で行ったが、我々の装置ではエピタキシャル成長したPd膜は得られなかった。STO(001)基板上にPd (001)、Pd(111)微粒子を形成し、スピン偏極STM(SP-STM)でその磁性を評価したが、強磁性を示す有意な結果は得られなかった。Kirschner等はCu(001)基板上にPd(001)エピタキシャル膜を作製し、Pd膜内に量子井戸状態が形成することを報告している(Phys. Rev. B 73, 035429 (2006))。これを参考にCu(001)基板上に原子レベルで平坦なテラスとステップで構成されたPd(001)エピタキシャル膜が形成していることをSTMで確認し、微分コンダクタンスdI/dVのバイアス電圧依存性よりPd膜厚内に量子井戸状態が形成されていると結論した。さらにCr多結晶磁性探針を使用して、フェルミ面での状態密度が大きくなることが期待できる8、9 MLのPd(001)超薄膜の磁性を室温で評価した。得られたdI/dV像の平坦なテラス内に明暗のコントラストが得られた。これは多磁区構造を取る磁性薄膜のスピン像と解釈できるが、Pdが強磁性を発現していると結論づけるには、さらにデータの蓄積を必要である。上記のPd微粒子の成果とSTO(001)に形成される再構成面の成果を日本物理学会2023年秋季大会で報告した。また、Cu(001)上のPd(001)超薄膜の成果は北海道大学理学院物性物理学専攻の修士論文「スピン偏極走査トンネル顕微鏡を用いたCu(100)基板上のPd薄膜の研究」にまとめた。
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