研究課題/領域番号 |
20K05336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
上田 茂典 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20360505)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 硬X線光電子分光 / スピン分解電子状態 / 強磁性体 / ハーフメタル / バルク / 界面 / 温度依存性 / 絶縁体/強磁性体接合 / 電子状態の深さ依存性 / 界面電子状態 / スピン偏極度 |
研究開始時の研究の概要 |
スピン分解硬X線光電子分光とX線全反を組み合わせ、絶縁体/強磁性体接合における強磁性体のバルク領域から界面近傍でのFermi準位近傍のスピン分解電子状態の研究を行い、バルクに特有なスピン分解電子状態と界面電子状態を明瞭に切り分けることが可能となる。絶縁体/強磁性体界面でのFermi準位近傍でのスピン偏極度ならびに電子状態はトンネル磁気抵抗(TMR)素子の性能を左右するため極めて重要であるが、界面近傍のスピン分解電子状態測定はこれまでに行われていない。TMR素子として代表的なMgO/Fe界面やMgO/ハーフメタルを用いて、界面がTMR比に与える要因を明らかにし、新規材料開発へつなげる。
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研究成果の概要 |
絶縁体層に埋もれた強磁性体のスピン分解電子状態を観測するため、検出深度の長いスピン分解硬X線光電子分光法を開発した。MgO(2 nm)でキャップされたFe(001)薄膜を用いて性能評価を行い、信頼性の高い取得することができた。本手法を用いて同様にMgO(2 nm)層でキャップされたCo2MnSi(001)薄膜のスピン分解電子状態測定を行い、Co2MnSiのハーフメタル性を反映したフェルミ準位での高いスピン偏極度(~90%)を20Kで示すことを明らかにした。また、このスピン偏極度は、室温においても確認され、少なくともCo2MnSiは室温までハーフメタル性を保持することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
強磁性体/絶縁体/強磁性体接合(F/I/F)構造が示す磁気抵抗比は、室温で低下することが知られているが、強磁性体のバルクの特性によるものかについては明らかとなっていない。F/I/F構造は、ハードディスク(HDD)の読み出しヘッドとして実用化されており、室温以上で高い磁気抵抗比を示す材料が、HDDの高記録密度に必要である。伝導に寄与する電子のスピン偏極度が100%となるハーフメタル候補物質であるCo2MnSiのバルク領域でスピン偏極度に温度依存性が見られなかったことは、I/F界面が磁気抵抗の温度依存性に寄与することを示唆しており、界面磁性の制御の重要性を示すことができた。
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