研究課題/領域番号 |
20K05342
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29030:応用物理一般関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 武則 東京大学, 低温科学研究センター, 助教 (80361666)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 熱電変換 / 電気二重層トランジスタ / カーボンナノチューブ / トランスバース型熱電素子 / 熱電変換素子 / ambipolarトランジスタ / 電気二重層コンデンサ / イオン液体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は電気二重層トランジスタ(EDLT)の手法を用いてp型とn型材料の熱電特性を同時に最適化し、新しいコンセプトの熱電変換素子を作製することを目的とする。 具体的には、両極性の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を電気二重層キャパシタ(EDLC)の正極、負極に用いることによって、それぞれの電極にホールと電子を誘起し、p型とn型の熱電変換材料の対を作製する。そして、積層構造の熱電変換素子、および厚さ方向の温度差を面方向に変換するトランスバース型の熱電変換素子の試作を行い、エネルギー出力の向上を目指す。また、導電性高分子およびそのSWCNTとの複合材料にEDLTを用いて熱電特性の向上を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究において作製する熱電素子は、室温以上で、キャリアの制御を行い、室温以下で電解液を固化させることによって素子として動作させる。そのため、ペルチェ素子を用いて室温以上と室温以下の温度を制御するための装置を作製しているが、本年度はPCのCPUを冷やすための水冷システムを使ってペルチェ素子の冷却を行い、装置の改良を行った。これにより、真空中でも効率的に冷却できるようになった。 昨年度までに、電解液を用いたambipolarトランジスタを作製し、正と負の熱起電力が観測されたことから、p-n接合が出来ていることを確認したが、本年度は、そのp-n接合のI-V特性を調べたところ、通常のp-n接合と異なり、オーミックなI-V特性が得られた。このことは、カーボンナノチューブ同士の接合抵抗が支配的であると考えられ、研究計画の段階では、「物理的な接合なしにp-n接合が作れるため、接触抵抗をなくすことができる。」と考えたが、ナノチューブ同士の接触抵抗を減らす方が重要であることが分かった。 昨年度までに1対のp-n接合を作製することに成功しているが、本年度は、多数のp-n接合を作製することを試みた。しかし、各接合における接触抵抗のためと考えられるが、すべての接合で良好なp-n接合を作製することに至っていない。また、すべてのp-n接合に同じように熱流を流すことも困難であることが分かった。今後の課題として解決する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、p-n接合の数を増やして起電力の増加を試みたが、手作業で接合を作製しているために、接触抵抗および、端子の非対称性から、良好なp-n接合の作製には至らなかった。また、端子を保護するためのシーラントおよび、熱電対の配線の非対称によって熱流がすべてのp-n接合に均一に流れず、hot側とcold側の温度差が付かなかったり、逆転したりする。測定装置自身にも温度制御による温度の面分布があり、測定の精度が悪くなっている。これらの問題を一つ一つ解決していくのに時間がかかり、実験計画よりやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
1対のp-n接合において熱電特性が確認できたため、令和4年度は、2対以上のp-n接合を手作業で作製した。しかし、上記で述べたように、配線の非対称性や熱流の制御がうまくできなかったため、素子としての動作を確認できていない。本年度は東大の超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点を利用して、微細加工によりより正確な接合の作製を行う。それとともに装置の改良を行い、温度分布が正常に測定できるようにする。 また、電気二重層キャパシタを応用した形状の熱電変換素子の作製については、こちらも少数のp-n対から始め、徐々に対の数を増やした素子の作製を行う。
|