研究課題/領域番号 |
20K05343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29030:応用物理一般関連
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小矢野 幹夫 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60195873)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 熱電変換 / ラマン散乱 / エネルギー緩和 / フォノン / 遷移金属ダイカルコゲナイド / グラフェン / エネルギー緩和過程 / 非調和格子振動 / ファン・デル.ワールス結合 / エネルギー輸送 / 温度 |
研究開始時の研究の概要 |
固体素子のみを用いて温度差から発電が行える熱電発電技術は,新しい再生可能エネルギー『廃熱を利用したエネルギー・ハーベスティング』への応用が期待されている.この技術に用いられる熱電材料の内部で,どのように熱エネルギーが流れて電力に変換されるかを明らかにすることは重要である.本申請では,この熱エネルギーの流れをラマン散乱分光を用いた特殊な温度計測法を用いて測定・解析することにより, 高性能な熱電材料の設計のための指針を得る事を目的とする.
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研究成果の概要 |
本研究では,熱電材料の中で起こっている熱エネルギー ⇔ 電気エネルギーの変換の素過程を明らかにすることを目的として,熱定常状態でのエネルギー緩和過程と熱輸送をラマン散乱実験を用いて調査した. 遷移金属ダイカルコゲナイドにおいて,光学フォノン温度と格子温度が異なるという新しい現象を発見し,その原因が,励起状態からのエネルギー散逸速度の違いによるフォノン占有率の低下によるものであることを明らかにした.さらに代表的なナノ材料であるグラフェンではこの温度の差異はそれほど大きくないこともわかった.これはエネルギー散逸過程が材料の種類によって大きく異なることを示唆している.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で発見された「光学フォノン温度と格子温度が高温領域で一致しない」という新しい現象は,熱定常状態においてもエネルギー緩和は速やかに行われるものであるという今までの常識に一石を投じるものであり,非平衡熱輸送の分野における重要なものである.応用科学の観点からも,熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換の素過程を理解し産業応用につなげるうえで重要な情報である. 本研究で開発した温度計測法は,非接触・非破壊で局所温度を測定できるものであるため,このような材料系以外にも広く応用が可能である.今後発展が見込まれるマイクロデバイスや微小試料の温度測定への道を開くものである.
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