研究課題/領域番号 |
20K05350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
大滝 正訓 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20612683)
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研究分担者 |
太田 有紀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60387066)
廣井 朋子 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (20238398)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | MDシミュレーション / 結晶成長 / RI実験 / 放射性同位元素 / 脱水和 / 分子動力学 / 脱溶媒和 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、結晶化における溶液成長の素過程を分子レベルで明らかにする事を目的とする。ラジオアイソトープにより標識した分子による分子移動の定量的評価を行い、平衡状態、非平行状態における物理量の変化を測定する。また、結晶成長の表面近傍の分子シミュレーションを行い脱水・脱溶媒和の際の自由エネルギー変化を見積もる。実験、計算両面から脱水和・脱溶媒和のプロセスが結晶成長に与える影響に対する知見を得る。
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研究実績の概要 |
本研究は結晶化における溶液成長の素過程を分子レベルで明らかにする事を目的とし、実験、シミュレーションの両面からアプローチを進めている。令和5年度(2023年度)は以下の項目を行った。
1.前年度より同じ晶癖(正6面体)の立方晶インスリン結晶が得られない問題が発生した。これまでの結晶化条件では異なる晶癖(斜方12面体)が析出したため、正6面体の結晶を得るための条件を検討した。その結果、正6面体の結晶を得るためにはより低い過飽和度(σ=1.5以下)で結晶化を行う必要があった。過飽和度2.0、2.5では正6面体と斜方12面体結晶が混在した。また、インスリンの純度等の検討も行ったが、晶癖の異なる結晶が析出する原因は不明である。
2.無水で結晶化するペプチドL-Leucyl-Glycyl-Glycine(LGG)を用いて溶液中と、結晶中での分子間相互作用の検討を行った。水溶液中でのLGGのMDシミュレーションにより複数のスナップショットを作成し、水和水の数え上げを行った。また、各残基に周辺の水分子の平均滞在時間と分子間相互作用を結晶構造、結晶構造を元としたMDシミュレーションにより複数のスナップショットから見積もった。ロイシン近傍と末端のグリシン近傍の水分子の平均滞在時間は約3倍であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
立方晶インスリンの結晶化条件の再検討に時間を有したため。 新たな結晶化条件の検討が終了したため、2024年度はRI実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
立方晶インスリンにおいて、再び正6面体の晶癖が得られるようになった。MDシミュレーションにより、立方晶インスリンの{100}面において、溶液中、結晶表面、結晶中の水分子の移動について検討を行ってきた。これらのシミュレーションで得られた知見から、標識したトリチウム水の移動量を測定する予定である。 また、これまでのシミュレーションと実験結果と統合し、結晶成長時の脱水和の分子の挙動について検討を行う予定である。
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