研究課題/領域番号 |
20K05369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
緒方 智壽子 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (60288777)
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研究分担者 |
谷田 純 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (00183070)
香川 景一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30335484)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 複眼撮像システム / 歯周組織 / 歯周治療 / 歯肉厚 / ニューラルネットワーク / TOMBO / 複眼システム / 人工知能 / 歯周疾患 / 画像計測 / ディープラーニング / 3次元形状計測 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周疾患の治療前後で歯肉形態は様々に変化する。光技術の効果的な応用対象として、患者への負担軽減をしつつ、歯肉形態の空間・時間・推定組成の多次元情報に基づいた診断を可能にする口腔計測システムの開発を進めている。本研究では、複眼撮像システムTOMBOをベースとして、3次元形状計測、分光情報計測、立体表示用画像取得、アクティブ計測用パターン投影などの機能を集積化し、さらに人工知能を活用した推定機構を導入し、臨床利用に適したシステムを構築し、歯周治療臨床での判定精度を高め、治療指針への還元をめざす。
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研究実績の概要 |
本年度は,計測した反射率から歯肉厚を推定するために,モンテカルロシュミレーションのための2層の歯肉モデルを作成した.それぞれの層について妥当な範囲で総ヘモグロビン量,組織酸素飽和度,パワー則に従った換算散乱係数を想定して,モンテカルロシミュレーションによりデータセットを作成した.これを用いて3層ニューラルネットワーク(NN)を学習し,歯肉厚を出力するNNを作成し,被験者実験により得られた反射率データの分布との比較を行い,付着歯肉部でのデータの有効性を確認した. モンテカルロシミュレーションにより2層の歯肉モデルを作成して,4つの波470nm, 660nm,730nm, 850nmに対する反射率のデータセットを作成した.これを用いて入力層のノード数4,中間層のノード数10,出力層のノード数1とした3層ニューラルネットワーク(NN)を学習し,1層目(歯肉)の厚みを出力するNNを作成した.2名の被験者実験により得た実測データの反射率画像からNNにより歯肉厚の分布を推定し,歯肉厚の正解データはX線CTから読み取った. 比較の結果,歯槽粘膜部分は誤差が大きくなったが,付着歯肉については歯肉0.24mmRMSEの精度で良く推定されていた. 被験者実験により得られた反射率データの分布を吟味したところ,付着歯肉と歯槽粘膜で,データが明らかに異なる分布を示していることが分かった.歯槽粘膜部での誤差が大きくなったのは,血液が豊富な歯槽骨が第2層にあるため,想定した2層モデルと実際の生体組織が異なることが原因と考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,前年度の課題であったモンテカルロシュミレーションを用いた2層の歯肉モデルを作成した.これを用いて3層ニューラルネットワーク(NN)を学習し,歯肉厚を出力するNNを作成し,被験者実験により得られた反射率データの分布との比較を行い,付着歯肉部でのデータの有効性を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究において、歯槽粘膜部での誤差が大きくなったのは,血液が豊富な歯槽骨が第2層にあるため,想定した2層モデルと実際の生体組織が異なることが原因と考えられる. 被験者実験により得られた反射率データの分布を吟味したところ,付着歯肉と歯槽粘膜で,データが明らかに異なる分布を示していることが分かった.今年度は歯肉モデルとして総ヘモグロビン量,組織酸素飽和度などを与えたが,その制限によりNNの推定に偏りが生じている可能性がある.そこで,吸収係数,換算散乱係数をあり得る範囲において一様乱数で変化させたデータセットを用いて推定を行う.
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