研究課題/領域番号 |
20K05376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
白井 智宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (20357239)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | デジタルマイクロミラーデバイス / 空間的コヒーレンス / 断層イメージング / 光コヒーレンストモグラフィ / 量子模倣技術 / 光波面制御 / 散乱媒質 / 耐擾乱性 |
研究開始時の研究の概要 |
光を使って生体組織などの散乱媒質内をイメージングする既存技術では、光の複雑な散乱の影響により、一般に観察する深さと分解能は両立しない。本研究では、光波面制御に基づき散乱光を補正する技術を低コストで高精度化かつ高速化し、これを光の量子論的な振舞いを古典光学に基づき模倣した独自の断層イメージング法と融合することにより、散乱媒質内をより深くより高い分解能で光を使って非侵襲イメージングする技術の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
当初の計画にはなかったが、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)の時空間変調を利用した光波の空間的コヒーレンス測定法を高速化する新たな着想を得たため、昨年度に引き続き関連する研究を実施した。具体的には、これまでの複スリットに代わり非冗長配列スリットを利用することで、高速かつ信頼性の高い空間的コヒーレンス測定が可能となることを見出し、検証実験を通してその有効性を確認した。その成果を定評のある国際誌上および国内の学術講演会で公表した。 擾乱の影響を受けないイメージング原理の構築については、昨年度に招待講演の一部として口頭で報告した内容を改めて見直し、本研究課題のメインテーマとなる量子ミメティクスとの密接な関連性を整理した上で解説論文にまとめ公表した。 スペクトル強度干渉断層イメージング法の高度化については、外乱の影響を受けずに安定した測定が可能となるように原理検証実験に利用した光学系の大幅な改良を検討しているが、本事業の終了が迫っていることなどを考慮し、光学定盤上に組み上げていた複雑な分光光学系を市販の分光器ユニット2台で置き換える新しい方針の妥当性を検討した。その結果、汎用製品であっても仕様を適切に選択することにより、当初の光学系とほぼ同等の性能が得られることがわかったため当該製品一式の手配を進めた。販売業者側の都合により納品が年度後半にずれ込んだため、本製品を利用した新しい分光光学系については、現在、その構築作業を進めているところである。 DMDと液晶空間光変調器の結合による波面制御技術については、当該分野の進展が予想外に早く当初の計画内容の新規性がやや失われつつあるように思われたため、既存技術と明確に差別化される新しい原理の構築に向けた検討を併せて進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たな着想を得たことにより当初の計画にはなかった空間的コヒーレンスの測定法に関する研究を本年度も継続して実施したことに加え、本年度の特別企画として依頼された国際誌の特集号のゲストエディターとしての業務など、所内外の業務が予想外に増えたことにより、本研究の進捗に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本研究課題の最終年度であったが、前述の理由により研究の進捗に遅れが生じ当初予定していた成果が得られない可能性が大きくなったため、研究実施期間の延長を申請し承認された。次年度は、本研究課題の最終年度として、少なくとも要素技術に相当する光波面制御の高速化とスペクトル強度干渉断層イメージング光学系の改良を完成させるべく、重点的かつ計画的な研究推進に努める。
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