研究課題/領域番号 |
20K05405
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
本郷 照久 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (50434303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | クリソタイル / 溶解 / 溶出 / バッチ式 / 流通式 / アモルファスシリカ / 不溶解残渣 / アスベスト / 石綿 / タルク / 吸着 / 再資源化 / シリカ / 抽出 / リサイクル / 合成プロセス / 機能性材料 |
研究開始時の研究の概要 |
廃アスベスト(安全性を考慮し、模擬試料を使用)に含まれるMgとSiを高純度かつ高収率に分離する条件を明らかにする。分離により得られたMgとSiは、それぞれ高機能性材料の原料として利用し、その合成プロセスを確立する。合成するのは水質浄化材料やVOC吸着材であり、それらは各種分析機器によりキャラクタリゼーションし、さらにその環境浄化能を評価する。
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研究実績の概要 |
本年度は、アメリカ カリフォルニア州Coalinga鉱山から産出したクリソタイル(アスベストの一種)を用いて、溶解実験を行った。溶解実験はバッチ式と流通式で行い、クリソタイルから溶出するMg量およびSi量の経時変化や、溶解によるクリソタイルの形態変化を追跡することにより、クリソタイルの溶解機構を検討した。 溶解液にはpH2の硝酸水溶液を用い、37℃において最長で28日間の溶解実験を行った。バッチ式による溶解実験では、MgとSiの溶出速度が時間の経過と共に顕著に低下し、7日目以降ではMgとSiはほとんど溶出しなかった。溶解液のpHは、7日後に4.9まで上昇し、28日後には6.0に達した。このpHの上昇は、クリソタイルの八面体シートの溶解に伴って、OH-やMg2+イオンが溶出したことによるものである。溶解速度の低下は、pHの上昇によってもたらされたことが分かった。 流通式による溶解実験では、28日間を通してクリソタイルからMgやSiは溶出し続けた。溶解速度はSiに比べてMgの方が速く、不溶解残渣のSi含有率は時間の経過とともに高くなった。不溶解残渣のFT-IR測定から、クリソタイルが溶解することによって、アモルファスシリカが生成することが分かった。 不溶解残渣の電子顕微鏡観察により、溶解反応は繊維や繊維束の表面から進行していくことが分かった。また、溶解反応が進行することで、ナノ粒子が連結した繊維状のアモルファスシリカや、ロール構造がほぐれてシート状になったアモルファスシリカが形成されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、アスベストの一種であるクリソタイルの溶解機構を検討することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
アスベストから溶出したMgを原料に用いて水質浄化材料を合成するプロセスを確立し、その水質浄化能評価を行う。
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