研究課題/領域番号 |
20K05411
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
北田 数也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 主任研究員 (00539786)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 磁気異常 / 高分解能磁気探査 / 磁化強度分布 / 海底熱水系 / 沖縄トラフ / 伊豆・小笠原弧 / 無人探査機(ROV) / 深海曳航調査システム(ディープ・トウ) |
研究開始時の研究の概要 |
海底熱水系を支える地質学的背景を理解するためには,海底下の地質構造を詳細に明らかにする必要がある.沖縄トラフでは,背弧拡大に伴う火山活動や島弧マグマ活動による海底熱水系が20箇所以上報告され,調査船や自律型無人探査機(AUV)による磁気探査が主に実施されてきた.しかしながら,これらの調査ではデータ分解能が限られるため,数100m以下スケールの磁化強度分布を明らかにすることは難しい.そこで,本研究では,深海曳航調査システム(ディープ・トウ)等を活用した高分解能磁気探査手法を構築し,詳細な磁化強度分布を推定することにより,沖縄トラフにおける海底熱水系の海底下構造を明らかにする.
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研究実績の概要 |
無人探査機(ROV)や深海曳航調査システム(ディープ・トウ)を活用した高分解能磁気探査手法を構築し,海底の磁化強度分布を詳細に推定することにより,沖縄トラフ等に分布する海底熱水系の海底下構造を明らかにすることが本研究の目的である.具体的には,調査船や自律型無人探査機(AUV)による調査で取得した地磁気および海底地形データを解析し,広域の磁化強度分布を推定する.さらに,ROVやディープ・トウを活用した高分解能磁気探査手法を新たに開発し,海底熱水系周辺の詳細な磁化強度分布を推定する. 2022年度は,沖縄トラフおよび伊豆・小笠原弧の海底熱水活動域でこれまでに取得した地球物理データの解析を行うとともに,海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海底広域研究船「かいめい」によるKM23-01およびKM23-02航海では,東青ヶ島海丘周辺において新たに地球物理調査を実施した.収集・取得したデータをもとに既存の広域データセットを更新し,熱水活動域周辺の磁化強度分布の特徴を明らかにした. ROV等を活用した高分解能磁気探査システムの開発では,開発した磁気探査システムをJAMSTECのROV「KM-ROV」に新たに搭載し,東青ヶ島海丘カルデラの熱水サイトにおいて精密磁気探査を実施した.KM23-01航海では合計3潜航を実施し,2つの熱水サイト周辺(約100m四方)において良好な磁場データを取得した.得られたデータをもとに磁気ノイズおよび磁気異常シグナルを評価し,本磁気探査システムの改良点とオペレーション上の課題について取りまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
沖縄トラフおよび伊豆・小笠原弧海域において既存の地磁気および海底地形データの収集・編集,および新たな地球物理データの取得を行い,両海域に分布する海底熱水系周辺のデータセットの構築を進めた.これまでに久米島西方沖および東青ヶ島海丘周辺において,調査船を用いた高密度磁気探査によって明らかとなった海底の磁化強度分布の特徴を取りまとめ,成果の公表を進めている. 一方,高分解能磁気探査手法の開発では,新型コロナウイルスの影響を受け,当初予定していた機器の購入が難しくなったため磁気探査システムの開発に遅れが生じた.2022年度末の航海では,東青ヶ島海丘カルデラの熱水サイト周辺において本探査システムによる磁気探査を実施し,良好な磁場データを取得できたが,詳細なデータ解析および成果の公表には至らなかった.このため,本研究課題を2023年度まで延長し,高分解能磁気探査システムのさらなる改良と研究成果の取りまとめを行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,引き続き高分解能磁気探査システムの汎用性をさらに向上させるため,磁気探査システムの小型化を含めた改良を進める.これにより,ペイロードスペースが限られるROVやディープ・トウ等にも本探査システムを搭載することが可能となり,探査データの取得機会を増やすことができる.次年度に予定されている調査航海では,磁気ノイズが比較的少なく,機動力のあるJAMSTECの有人潜水調査船「しんかい6500」に本探査システムを搭載し,中部沖縄トラフ熱水活動域において精密磁気探査を行う.得られたデータを基に,海底熱水系の詳細な磁化強度分布を明らかにする. 本課題の3つの項目,a)「地磁気および海底地形データセットの構築」,b)「海底近傍での高分解能磁気探査手法の開発」,c)「スケールの異なる磁気探査データ解析手法の構築」の実施内容については,当初計画通り進め,海底熱水系の詳細な磁化強度分布を明らかにし,海底下地質構造の系統的な理解を目指す.また,研究成果の公表にも重点を置いて,これまでに得られた成果を取りまとめ,関連する学会や学術雑誌で公表する予定である.
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