研究課題/領域番号 |
20K05412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩佐 豪 北海道大学, 理学研究院, 助教 (80596685)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 近接場光 / 双極子近似の破れ / 選択則 / 多重極ハミルトニアン / 光STM / 金属吸着分子 / 近接場光化学 / 多重極相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
近接場光は物質近傍に局在した伝搬しない電磁場成分であり、双極子禁制励起などの伝搬光とは異なる分子励起を可能にする。近年、走査型トンネル顕微鏡を利用して、近接場光が励起する単分子実験が可能になってきた。近接場光と分子の相互作用は、双極子近似と固有励起状態に基づいた記述を超えた理論を必要とする。さらに近接場光の分布は光源の形状などに依存するため、電磁場計算も必要になる。本研究では、多重極相互作用に基づいた双極子近似を超えた励起状態計算と計算電磁気学を組み合わせた理論手法を開発し、近接場光励起に由来する光化学と、従来の光化学との本質的な違いを明らかにし、近接場光化学の学理構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、近接場光が誘起する光化学反応の機構解明を目指して、双極子近似を超えた理論手法の開発を行い、伝搬光と近接場光での励起状態の違い、また光STMを用いた際の近接場光励起の選択則を明らかにした。さらにクラスターモデルを用いて金属基板と分子の相互作用を考慮して励起状態を調べた結果、担持分子の励起状態が金属との相互作用によって分布を持つことと、高位励起状態は双極子許容だが、低エネルギー領域は双極子禁制な状態が多数存在することを明らかにした。しかし近接場光を用いた遷移確率も調べたが反応機構の完全解明には至らなかったため、今後は、金属モデルの改良などを行っていきたいと考えている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近接場光は伝搬光にはない局在性という特徴を持ち、回折限界と双極子近似を超えた局所的な分光・イメージングや光化学反応への展開が期待されている。実際、走査型プローブ顕微鏡と組み合わせた光STM実験で、単分子の分子内振動イメージングなどの原子レベルの分解能を持った分光や、単分子の光化学反応の誘起と解析も可能になってきている。近接場光と分子の相互作用から出てくる新しい科学を理解・開拓していくためには、実際の分子系において双極子近似を超えた選択則を議論できる理論化学に基づいた本手法が必要であり、今後も更に発展させていく。
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