研究課題/領域番号 |
20K05433
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉田 健 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (80549171)
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研究分担者 |
野口 直樹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (50621760)
村井 啓一郎 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (60335784)
平野 朋広 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (80314839)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 皮膜形成物質 / 水-蒸気サイクル / 核磁気共鳴 / 赤外分光 / 亜臨界水 / 超臨界水 / 皮膜形成アミン / NMR分光法 / 赤外分光法 / X線光電子分光法 / 原子間力顕微鏡 / 腐食防止 / 核磁気共鳴分光法 / X線構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
電力の安定供給は、現代社会に最重要の基盤インフラである。発電プラントの不測の停止回避には、蒸気・復水系の配管内壁の腐食劣化の機構の解明と抑制手段の開発は不可欠である。近年、金属表面に疎水性膜を形成するとされているアルキルアミン類が新しい防食添加剤として世界的に注目され始めたが、その作用機構は未知である。本研究では、多核NMRとXPS・顕微反射IRを駆使した高温高圧水熱反応解析と固体表面解析を融合し、アミン類の反応・吸着・会合体形成の速度論と平衡論の定量的評価を行う。膜形成剤の有力候補の物質群の水熱流体/金属界面での挙動を官能基毎に系統的に調べ、新規の金属防食化合物の設計・探索指針を構築する。
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研究成果の概要 |
本研究では、高温高圧水中でのオレイルプロパンジアミン(OLDA)の銅表面への吸着・皮膜形成機構とモデルアミンの化学反応を、NMRや表面分析などの多角的アプローチにより解明した。OLDAは150 ℃の高温水中で銅表面に選択的に吸着し、アミノ基を介した銅錯体形成により、内部に銅イオンを多量に含む多層の撥水性保護皮膜を形成することを見出した。さらに、エチルアミンやオクチルアミンのモデル化合物の反応解析から、高温水中ではアミンの加水分解と生成物の異性化が徐々に進行するが、FFAが適用される高pHでは分解が抑制されることを明らかにした。本研究により、FFAの防食メカニズムの分子論的理解が大きく進展した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、火力発電プラントの水-蒸気サイクル配管の腐食防食技術の高度化に貢献する。新規防食剤として注目される皮膜形成アミン(FFA)について、その作用機構を分子レベルで解明し、防食効果の発現メカニズムと最適な使用条件の指針を与えた点に大きな学術的意義がある。従来の実機試験に偏重した研究とは一線を画す、物理化学に立脚した多角的アプローチにより、FFAによる防食機構の全容解明とメカニズムに基づく分子設計指針の構築を実現した。本研究の成果は、FFAの実用化を通じて、従来のヒドラジンに代わる安全性と環境調和性の高い防食技術の確立に直結することから、産業界に対しても高い社会的インパクトを有する。
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