研究課題/領域番号 |
20K05439
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (2021-2022) 国立研究開発法人理化学研究所 (2020) |
研究代表者 |
小泉 健一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, NIMS特別研究員 (90573056)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 第一原理分子動力学 / 溶液系 / 第一原理分子動力学法 / 第一原理計算 / 時間依存密度汎関数法 / 励起状態 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請ではEhrenfest dynamicsのコード開発を行う。計算の律速となる高速フーリエ変換を最小限にして、超並列計算に適応させた実時間時間依存密度汎関数法に分子動力学法を組み込み、大規模計算に対応させる。これにより励起状態のダイナミクスの扱えるモデルサイズを数百原子のオーダーに拡大し、溶媒を含んだ励起状態ダイナミクスのシミュレーションを実現する。
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研究実績の概要 |
溶液系の第一原理分子動力学法の解析を行った。具体的にはカリウム濃厚電解液についてカリウムの拡散過程の追跡を行った。近年、エネルギー問題が持続可能な社会を維持するため大きな問題となっている。これまでのリチウムに基づいた二次電池は、さまざまなコストの障害がある。安価なカリウムで代替できれば、社会的に大きなインパクトをもつ。従来の溶媒では、その可燃性から、水系溶媒の研究開発が行われて来たが、電位窓の問題から、実現が困難になっていた。このため系の濃厚化を図ることで、打開策が見込まれている。濃厚化の限界を極めた系として、東京大学、山田グループから61.7mの超高濃度カリウムイオン電解液が報告されている。今回は第一原理分子動力学からカリウムイオンの拡散をシミュレートしカリウム拡散のメカニズムを明らかにした。 第一原理分子動力学法によって61.7 mの超高濃度電解液について、カリウムイオンの拡散メカニズムの考察を行った。6つの塩に対する水の配位が異なるモデルを準備し30psの分子動力学計算を行った。カリウムから酸素原子への動径分布関数を求めると6つのモデル全てで同じ値を示した。その一方、拡散係数を求めると6つのモデルでそれぞれ異なる結果を得た。拡散係数とNernst-Einsteinの式から求めたconductivityは実験値を再現していた。水とカリウムイオンの空間的分布のマップを図示すると、conductivityが小さいモデルでは水とカリウムイオンの空間的分布に重なりがないことが明らかとなった。Conductivityの大きいモデルではカリウムイオンの空間的分布に重なりが見られた。このことからカリウム周辺の水はカリウム拡散の鍵となっており、カリウム周辺の水の分布が拡散係数などの動的パラメータに大きく影響を与えることが明らかとなった。
現在学術論文の原稿を用意し近日投稿する予定である。
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