研究課題/領域番号 |
20K05443
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
丹野 剛紀 秋田大学, 地方創生センター, 准教授 (70390721)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 配向性秩序-無秩序相転移 / 柔粘性結晶 / テラヘルツ分光 / 熱分析 / 相転移 |
研究開始時の研究の概要 |
格子欠陥を故意に導入した柔粘性結晶のテラヘルツ透過スペクトルを計測し,欠陥導入前との差異を評価する.熱処理により欠陥濃度を変えながらデータを体系的に収集し,さらに量子化学計算を援用し,計測された各吸収ピークと格子欠陥のタイプとの対応関係を明らかにする.他にも,薄板状の試料に屈曲や引張などの加工を加え転位を導入した部分を,テラヘルツ波でラインスキャンし,転位が多い部分のスペクトル上の特徴を把握する.
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研究実績の概要 |
前年度までに研究を行った数種の柔粘性結晶のうち、特に相転移がテラヘルツスペクトル上に明瞭に表れるしょうのうについて、その配向性秩序-無秩序相転移を集中的に調べた。テラヘルツ分光を用いて相転移温度の不純物濃度依存性を調べ、さらに融点測定装置により融点を測定した。加えて、裏付けとして示差走査熱量測定も行い、おおまかな状態図を作り上げた。 結果としては、しょうのうへの不純物(しょうのうに似た化合物)の添加によって、配向性秩序-無秩序相転移温度が100度以上も変化することが分かった。一方、融点には大きな変化は現れなかった。柔粘性結晶を冷却デバイスに応用する際に特に重要なパラメータとなるエントロピー変化は、不純物添加により顕著に減少した。相転移の際に、配向の無秩序化以外にエントロピーを増大させる因子の存在が示唆される。 また、この過程で、配向性秩序-無秩序相転移を示す新たな物質も見つかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パンデミックによる実験の遅延は完全に挽回した。新しい柔粘性結晶など、想定していなかった発見もあり、成果は挙がっているが、論文や学会などでの成果発表は追いついていない。
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今後の研究の推進方策 |
しょうのうとその類縁物質およびそれらの混晶において興味深い現象が多くみられることから、令和5年度もこの系に集中して研究を進める。 具体的には、低周波数帯振動の量子科学計算、格子欠陥が熱物性やテラヘルツスペクトルに与える影響の考察、混晶の組成の精確な評価などである。DSCなど他の手法も活用して、2元系混晶の詳細な状態図を完成するとともに、相転移温度と格子欠陥、エントロピー変化との相互のかかわり方を定性的につまびらかにする。 以上の内容を総合し、柔粘性結晶の相転移に際してダイナミックに変化する格子欠陥の態様とテラヘルツスペクトル上の変化とを論理的に結び付け、テラヘルツ分光が柔粘性結晶の格子欠陥の評価法として有効であることを実証する。
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