研究課題/領域番号 |
20K05448
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢持 秀起 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (20182660)
|
研究分担者 |
大塚 晃弘 京都大学, 理学研究科, 准教授 (90233171)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 電荷配列 / 分子性結晶 / 電子相転移 / 導電性 / 磁性 / 電荷配置 / 電荷秩序 / 結晶構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の主課題は、同符号かつ異なる荷電状態にある異種分子が周期的に配列した結晶構造(化学電荷秩序)を構築することにある。このために、形状やサイズが異なる分子を組合せることにより、結晶中の同一サイトに異種分子がランダムに充填した混晶の生成を防止することを試みる。さらに第1の成分分子として電荷を持つ置換基を有する分子を用い、同符号電荷間での静電反発による第1の成分分子どうしの接近を回避し、第1, 第2の成分分子が交互に充填された結晶の構築を試みる。 並行して強力な還元剤を用いた(ラジカル)陰イオン塩の作製も行い、分子結晶内での電荷分布様式の制御と電子物性の多様化を目指した実験研究を行う。
|
研究成果の概要 |
新規な電子状態や相転移挙動を示す分子性結晶の創出を目的とした物質開拓を行った。電子供与体であるテトラチアフルバレン誘導体を用いて金属的導電性と単分子磁石としての挙動を同時に示す物質等を得た。陽イオン状態が多用されてきたポルフィリン等の大環状化合物や比較的弱い電子受容体を強力な還元剤で(ラジカル)陰イオン状態とし、遷移金属イオンとの錯イオンを作製した。錯イオン内で遷移金属が有機分子骨格と配位した物質のみならず、遷移金属イオンどうしが結合した拡張型の錯イオンも得られた。これら錯イオン内の常磁性種間で磁気的相互作用が見られる物質や、錯イオンとしてのスピン状態が温度変化する錯体を得た。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では成分分子に関する既知の特性を活かした新規導電性・磁性共存物質の開拓を行ったのみならず、電子受容性の弱い分子について前例の少ない(ラジカル)陰イオンとした状態での機能性物質の開拓が行われた。これらの研究指針は従来の物質開拓指針には欠けていた発想をも含み、その結果は機能性を持つ分子性結晶の開拓研究において新たな方法論を提示している。これらの成果から得られた知見は短期的に実用材料を産出するものではないが、固体物性科学分野における新たな基礎科学的な情報と物質設計指針の例を与えている。
|