研究課題/領域番号 |
20K05451
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
青木 健一 東京理科大学, 理学部第二部化学科, 教授 (40385943)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | デンドリマー / クリック反応 / 分子カプセル / 分子包接 / 光架橋 / マイケル付加 / ウレタン形成反応 / 紫外線硬化 / 光重合 / VOCフリー / マイケル付加反応 / ウレタン系正反応 / ワンポット合成 |
研究開始時の研究の概要 |
デンドリマー合成の全工程をワンポット化することにより、簡便かつ大量なデンドリマー合成を可能にする。また、得られたデンドリマーの末端の一部(または全部)をカルボキシル基などにより親水化することにより、水溶性分子カプセルを創製する。 以上のようにして得た水溶性デンドリマーの包接能を、さまざまな疎水性ゲスト分子を用いて解析する。最終的には、水溶性かつ光重合性を示すデンドリティック分子カプセルの内部に疎水性有機分子を包接することにより、水媒体でUVコーティングを用い、VOCフリーな工程による機能性塗膜の調製と機能化を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度までに、当研究室で提案しているダブルクリック反応を用いたデンドリマー世代拡張反応の精度を向上させることができ、デンドリマーの純度と単分散性をより高めることができた。これにより、骨格母体である高純度の32末端ポリアクリレートデンドリマーを大量合成できるようになったため2023年度は以下の検討を行った。
(1)Ac32の末端にアミノ基を導入することにより、アミン塩酸塩を末端に有するデンドリマー(DNH4Cl-32)を合成できた。DNH4Cl-32は、純水および酸性水溶液に10wt%以上の濃度で溶解し、本デンドリマーの内部にライハルト色素などの疎水性ゲスト分子を包接可能であることが分かった。動的光散乱測定、NMR測定(DOSY, 2D-NOESY測定など)により、包接時の分子集合状態や包接構造に関する知見を得た。 (2)Ac32の末端にカルボン酸やスルホン酸のナトリウム塩を導入できることも見出した。これらのデンドリマーは純水および塩基性水溶液に高い溶解性を示し、 DNH4Cl-32と同様に分子包接能を示すことを突き止め、現在、詳細な検討を行っている。 (3)Ac32の末端に光反応性部位として、ケイ皮酸部位を導入できることを見出した。本誘導体は塗膜中で光二量化反応を起こすことから、光照射によりデンドリマーどうしが架橋し、ネットワーク構造を形成する。そのため、光照射により水や有機溶媒に不溶性の光硬化デンドリマー塗膜を得ることができた。現在、(1)、(2)の水溶性デンドリマーに光架橋性を付与した新規デンドリマーの合成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は2020年度から開始しているが、最初の2年間は新型コロナ感染予防対策の影響を受け、実験の進捗が予定よりやや遅れたことに加え、多くの学会の開催が中止されたことにより、成果の対外的発表が十分に行われていない。昨年度は、ほぼ2020年度以前の実験時間を確保でき、実験成果が出始めてきたが、まだ学術論文として投稿するレベルまでまとまっていない状況である。 以上より、本研究課題の研究課題の進捗状況は、当初の予定よりやや遅れていると考えており、その解決策として、本研究課題の実施期間を1年延長申請し、今年度(2024年度)を目途に、一定のレベルまで成果がまとまることを目指し、研究を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、当初、昨年度(2023年度)で終了予定であったが、上記の理由により1年間延長し、遅れた部分の研究と成果報告に向けた準備を進めている。今年度は、主に以下の点に重点を置き、研究と成果報告を行う予定である。
(1)これまでに得られている水溶性デンドリマーの、水系での分子包接挙動を詳細に調べる。 (2)これまでに得られている各種水溶性デンドリマーの世代を拡張し、末端数を32から64まで増加させる。末端数の増加が、分子包接挙動にどのように影響するかを詳細に調べる。 (3)昨年度、合成に成功した末端にケイ皮酸を有するデンドリマーについて、それらの光反応特性を詳細に調査する。 (4)水系で疎水性ゲスト分子を包接可能で、光架橋性も有するデンドリマーを合成することにより、水系で光硬化膜を得る手法、および疎水性ゲスト分子を塗膜内に固定化する手法を構築する。
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