研究課題/領域番号 |
20K05454
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
宮下 敦巳 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 主幹研究員 (00354944)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 陽電子 / グラフェン / 計算科学 / 表面 / ポジトロニウム分光 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、スピン偏極特性はグラフェンと格子整合が良い強磁性体の組み合わせを中心に調べられてきた。しかし、格子整合が良い場合、高品質のグラフェンが得られる反面、強い混成によりグラフェン本来の電子状態が消失することが判明した。 そこで本研究では、短距離格子整合では必ずしも良くないものの、長距離では整合するグラフェンと基板物質の組み合わせに着目し、グラフェンにどのようなスピン偏極電子状態が誘起されるかを大規模バンド計算によって解明する。また、これらの系における陽電子波動関数とポジトロニウム生成挙動を調べることで、それらの分光手法を用いた実験結果の詳細な解釈を可能とする。
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研究成果の概要 |
Co2FeGa0.5Ge0.5(CFGG)結晶において、CFGGの水平方向2単位繰り返しの(3×1)構造の表面に、(8×2)構造のグラフェンを整合させ、表面に20Åの真空層を設けた148原子スラブモデルを用いて第一原理バンド解析を行った。モデルの構造最適化を行った所、CFGG表面とグラフェン層の間隔は2.9Åとなりファンデルワールス力結合距離となった。グラフェン層のみの電子状態密度を求めた所、スピントロニクス材料としての性質が失われていない事が示唆された。ポジトロニウムの生成確率を推定するため、電子・陽電子密度積を求めた所、スピン偏極率は2%程度であり、スピン注入効率が低い事が予想された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題では、基板物質であるCFGGと長周期で整合するグラフェンのスピン・電子状態を大規模結晶構造に基づく電子・陽電子バンド計算により得ると共に、グラフェンの電子状態解析に極めて有用なポジトロニウム分光のスペクトルを計算し、スピン偏極ポジトロニウム分光実験の詳細な解釈を行っており、実デバイスに利用可能なスピントロニクス材料の評価方法として、大規模結晶構造に基づく電子・陽電子バンド計算が非常に有用な事を示した。
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