研究課題/領域番号 |
20K05455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
溝黒 登志子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (90358101)
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研究分担者 |
三田 文雄 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (70262318)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 含白金共役系ポリマー / 光アップコンバージョン / 薄膜 / 配向 / 三重項励起子 / アップコンバージョン |
研究開始時の研究の概要 |
固体系の光アップコンバージョン(UC)材料は、溶液とは異なって三重項励起子の拡散に異方性を持たせることが可能であり、励起子密度の低下を防ぎながらそれを伝達することでUC効率の向上が期待される。しかし、これら固体内でのUC材料の相分離や凝集を抑え、かつ配向制御された固体材料の開発が課題であった。このため、UC材料として分子設計された含白金共役系ポリマーを合成し、このポリマーが基板上に配列制御したUC発光性薄膜を作製する方法を開発するとともにその構造評価、UC発光特性を調べる。これらにより固体中の三重子励起子拡散長の異方性の解明を進め、UC効率の向上の実現につながる科学的基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
固体系の光アップコンバージョン(UC)材料は、溶液とは異なって三重項励起子の拡散に異方性を持たせることが可能であり、励起子密度の低下を防ぎながらそれを伝達することでUC効率の向上が期待される。しかし、これら固体内でのUC材料の相分離や凝集を抑え、かつ配向制御された固体材料の開発が課題であった。このため、UC材料として分子設計された含白金共役系ポリマーを合成し、このポリマーが基板上に配列制御したUC発光性薄膜を作製する方法を開発するとともにその構造評価、UC発光特性を調べる。これらにより固体中の三重子励起子拡散長の異方性の解明を進め、UC効率の向上の実現につながる科学的基盤を構築する。 本研究の目的を達成するために、(Ⅰ) 分子設計に基づいた含白金共役系ポリマーの新規合成、(Ⅱ) 配向薄膜の作製と構造評価、(Ⅲ) UC特性評価と三重項励起子拡散異方性の解明、に焦点を定めて研究を実施する。 今年度は、末端に白金アセチリドとビスイミドを含む含白金共役系ポリマーの新規合成を行い、溶液中での光学特性とUC特性を評価した。なお含白金共役系骨格は、光励起でのUCにおける増感剤としての役割を担う。得られたポリマーの光学特性とUC特性を評価した。その結果、得られたポリマーを発光体である9,10-ジフェニルアントラセン(DPA)と混合した溶液を、450 nmの光で励起すると、380~430 nm近傍にUC発光を発し、その量子収率は約40%と、溶液系としては高い値を示すことが分かった。しかし、このポリマーでは面内配向膜の作製ができなかった。また、キャスト法で作製したポリマー薄膜は大気中でリン光発光を示したが、このポリマーとDPAとの混合溶液から作製したキャスト膜は、窒素雰囲気下でもUC発光を示さなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年1月上旬に研究代表者の実験室天井内の設備不良による大量漏水事故が発生し、本研究遂行に必須である配向膜作製装置、真空蒸着装置、雰囲気制御グローブボックス等が大量の水を浴び、これらの装置を用いた実験ができなくなった。製膜装置類は3月半ばまでに復旧したが、3月末までに雰囲気制御グローブボックス等は復旧しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ポリマーの分子設計指針を見直し、薄膜状態でUC発光を示すポリマーを新規合成する。また、配向膜を作製する手法を引き続き開発し、得られた薄膜内の分子配列の配向評価を行う。この配向膜に発光体を導入し、発光特性とアップコンバージョン特性を評価する。基板上に配向していないポリマー薄膜の発光およびアップコンバージョン特性を比較することで、ポリマーの配向構造と三重項励起子拡散異方性との相関を解明する。
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