研究課題/領域番号 |
20K05462
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北川 敏一 三重大学, 工学研究科, 教授 (20183791)
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研究分担者 |
平井 克幸 三重大学, 地域イノベーション推進機構, 准教授 (80208793)
岡崎 隆男 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 教授 (90301241)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 三重項カルベン / ジアゾメタン / 分子三脚 / アダマンタン / 自己組織化単分子膜 / 光化学反応 / サイクリックボルタンメトリー / 有機活性種 |
研究開始時の研究の概要 |
三重項カルベンは安定化が困難な有機活性種の一つであり、反応中間体及び有機磁性体のスピン源として注目されているが、その完全な安定化は達成されていない。本研究では、先に我々が開発した剛直な「分子三脚」を用いて固体Au表面上にカルベンを単分子膜として拘束することにより2分子の接近による二量化を禁止し、完全な安定状態の三重項カルベンを実現する。このために、カルベンの前駆体であるジアゾメタンと分子三脚の連結体の単分子膜をAu基板あるいはAuナノ粒子の表面に形成し、光照射によりカルベンを発生させる。スペクトル測定により、この状態のカルベンがこれまで未観測の永続性を持つことを実証する。
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研究成果の概要 |
三重項カルベンは中性2配位の炭素原子に2個の不対電子をもつ有機分子種であり、安定化が非常に困難な活性種である。従来我々は、これをπ共役と立体保護により安定化できることを示したが、主に二量化により減衰してしまうため、完全に安定な状態に保つには至っていない。本研究では、三重項カルベンの長寿命化の新たな方法を探索するため、これをAu基板表面の自己組織化単分子膜に固定した状態で発生させ、捕捉剤とカルベンの結合効率を調べることにより、膜上で分子運動を束縛された状態では二量化を効果的に抑制できることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
三重項カルベンは有機磁性体の構成材料として興味がもたれている。また最近では、量子コンピュータの量子メモリとしての密度がラジカルを凌ぐことが理論的に示されており、その完全安定化が望まれている。しかしながら、三重項カルベンは最も安定化が困難な有機活性種であり、他の代表的な有機活性種であるカルボカチオン、カルボアニオン、ラジカル、一重項カルベンの単離が達成されているのと異なり、長期間安定な状態での発生が現在でも達成されておらず、学術的にこの分子に関する知見が不足している。本研究で三重項カルベンの安定化を進めたことにより、この分子の応用と基礎物性の解明に向けて貢献できたと言える。
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