研究課題/領域番号 |
20K05463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 隆行 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20705446)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 二重らせん分子 / 動的平衡 / X線結晶構造解析 / 置換基効果 / 互変異性 / 錯体 / 溶媒効果 / 近赤外光吸収 / 二重らせん / トリピリン / 単結晶X線構造解析 / 会合定数 / 動的構造変化 / 求核置換反応 / キラリティ |
研究開始時の研究の概要 |
人工的に構築した二重らせん分子は、魅力的な三次元構造と動的挙動を併せ持つことから新規機能性材料としても興味がもたれる。これまでに報告のある二重らせん分子は合成法が限られており、特に可視光や近赤外光を吸収するといった色素の性質をもつ二重らせん分子の例はほとんど見当たらなかった。 そうした二重らせん分子の新たな機能の発現を目指して、独自に開発したジアミノトリピリン骨格を用いた人工π共役二重らせん分子の開拓をおこなう。多点水素結合に基づく動的挙動や広いπ共役系に起因する近赤外光吸収などを積極利用し、ユニークな光物性や外部刺激応答性を示す材料へと展開する。
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研究成果の概要 |
本研究では、二分子間水素結合によりパイ共役二重らせん構造を形成する鎖状パイ共役化合物ジアニリノトリピリンに関して、その置換基効果を中心に会合挙動・電子状態に関する考察を深め、新たな光機能材料として展開することを目的とした。 具体的には末端アニリン部分及びメゾ置換基を変えた種々の化合物の合成とその溶液及び固体状態での構造解析により、二量化会合定数の変化を調べた。小さな会合定数を示した場合には、かさ高い置換基の影響やトリピリン骨格の平面性によりパイーパイ相互作用に不利な構造が得られていることがわかった。また、不斉誘起現象や置換基を非対称化したトリピリンにおける二量化挙動についても調査した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ジアニリノトリピリンは、超分子相互作用によりパイ共役二重らせんを形成する珍しいモチーフであるが、その置換基効果を詳細に検討可能であるという点で学術的に価値がある。溶液中での会合定数の決定に加え、X線結晶構造解析を用いた固体状態の解析により、二量体の形成に本質的に重要な要素を見出すことができた。こういった知見を生かしてジアニリノトリピリン特有の物性を見出しそれをセンサーやホストゲスト化学に用いることで、さらに社会的意義が高まることであろう。分子の非対称化や金属イオン認識などの研究にも展開可能であり、今後ますます魅力的な成果が期待できる研究領域であると考えている。
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