研究課題/領域番号 |
20K05471
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
村瀬 隆史 山形大学, 理学部, 准教授 (70508184)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | ヘリセン / フッ素 / ドミノ反応 / Diels-Alder反応 / 光反応 / カルボカチオン / 芳香族求核置換反応 / C-F結合活性化 / πスタッキング |
研究開始時の研究の概要 |
芳香環が湾曲したヘリセンにフッ素置換基を導入し、芳香環とフッ素原子が、結合のみならず空間を介して相互作用することで起きる特異な反応の解明を本研究の目的とする。F4-チア[6]ヘリセンへの光照射では、硫黄1個とフッ素2個が脱離して、F2-コロネンが生成する反応をNMRとX線で解析する。F4-[7]ヘリセンの光反応生成物をシリカゲルで処理すると、フッ素2個が脱離したことから、近傍のフッ素原子で安定化されたπ共役系カチオンを経る反応機構を提唱した。このカチオンの観測・単離で、「フッ素原子が空間を介してカチオンを安定化」の概念を確立する。
|
研究成果の概要 |
末端がフッ素化された[7]ヘリセンは、光誘起Diels-Alder反応と光誘起二重フッ素原子移動を連続的に起こした。このドミノ光反応は、フッ素置換数と置換位置に依存した。ジエノフィル部位にフッ素原子が2個あることが、ドミノ光反応を進行させるための必要十分条件であった。 上記の骨格変換は、光誘起二重フッ素原子移動後も続いた。光反応生成物は、シリカゲル上で転位し、芳香族求核置換反応を受けた。この連続的な骨格変換により、フッ素原子2個が脱離し、ジフルオロカルボニル化合物を与えた。ヘキサフルオロイソプロパノールも同じ変換を可能にし、求核剤として作用した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ベンゼン環がらせん状に縮環したヘリセンは、縮環数が大きくなると、分子内でベンゼン環が積層する。この構造的特徴は、シクロパラフェニレンに代表される分子ナノカーボンには見られないものである。ヘリセンは、らせん構造に由来したキラリティーが特に着目される。しかし、2層目のベンゼン環やフッ素原子が、1層目のベンゼン環に接触することに着目すれば、湾曲したベンゼン環とフッ素置換の相乗効果による新たな性質が、フッ素置換ヘリセンで発現できる。本研究は、非平面π共役分子とフッ素の化学が融合した学際領域を創造し、分子空間を意識した反応開発や制御に寄与する。
|