研究課題/領域番号 |
20K05488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小田木 陽 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30772157)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 酸化的脱芳香族化 / アザーベンジル酸転位反応 / 環縮小反応 / 超原子価ヨウ素試薬 / 酸化的フェノールカップリング反応 / 分子内アザ-マイケル反応 / ハスバナンアルカロイド / アザプロペラン / アザビシクロ[3.3.1]ノナン / 分子内アザ―マイケル反応 / 脱芳香族化 / ハスバナン系アルカロイド / 全合成 |
研究開始時の研究の概要 |
ハスバナン系アルカロイドは、ピロリジン環を含む4環性構造を共通骨格に有するアルカロイドの一群である。また、当該化合物群の一部の類縁体では、オピオイドδ受容体に対して結合親和性を示すことから、うつ病治療薬の創薬シードとして期待されている。本研究では、新規うつ病治療薬シードの創出を目指し、ハスバナン系アルカロイドの共通骨格に着目した脱芳香族的酸化的フェノールカップリング反応を基盤とした網羅的合成法の確立を目的とする。
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研究実績の概要 |
【研究目的】本年度は、本研究課題をさらに発展させるべく、ステファジアミンの全合成の際に見出した「アザーベンジル酸転位反応」を基盤としたパクタマイシンの全合成研究に着手した。パクタマイシンは、1961年に放線菌Streptomyces pactum var. pactumから単離されたアルカロイドである。パクタマイシンの構造的特徴として、母骨格すべての炭素上にヘテロ原子を有する高度に官能基化されたシクロペンタン環を有する。特に、C1、4、5位に連続した第四級不斉炭素は合成化学的に構築が困難であり、当該立体化学の効率的な構築法の開発は、パクタマイシンを合成す上で重要な課題である。我々は、脱芳香族化反応により得られるジエノンの位置選択的な官能基化とアザ-ベンジル酸転位反応を組み合わせることで、C1位のα-tert-アミンを含むパクタマイシンの高度に官能基化されたシクロペンタン環を効率的に合成できると考えた。本年度は、モデル基質を用いて当該アザ-ベンジル酸転位反応について検討を行った。 【研究結果】まず、パクタマイシンのC2位及びC3位の窒素官能基を除去したモデル化合物を設定し、検討を行った。市販のフェノールより6工程で分子内ヘミケータル部位を有する化合物を合成した。合成したヘミケタールに対して、メタノール中アンモニアを作用させることで望むアザ-ベンジル酸転位反応が進行することを見出した。これにより、パクタマイシンのC1位α-tert-アミノ基を有するシクロペンタン母骨格が得られることを見出した。引き続き、C2位及びC3位の窒素官能基の導入について検討を行い、パクタマイシンの全合成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、本研究課題の基盤である(Ⅰ)脱芳香族化を伴う酸化的フェノールカップリング反応、及び(Ⅱ)ジエノン誘導体における位置選択的な分子内アザーマイケル反応、について検討を行い、ハスバナン骨格の効率的な構築法の開発に成功した。また、当該手法を用いることで、ハスバナンアルカロイドの一種である、メタファニン及びステファジアミンの全合成に成功した。本年度は、ステファジアミンの全合成の際に見出した「アザーベンジル酸転位反応」を基盤としたパクタマイシンの全合成研究に着手した。実際にモデル基質を用いることで望むアザーベンジル酸転位反応が進行し、パクタマイシンのシクロペンタン骨格が構築可能であることを見出した。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、本年度に得られた成果を基盤に、パクタマイシンの全合成研究に引き続き取り組む予定である。本年度は2位及び3位の窒素官能基を除去したモデル基質を用いることで、アザ-ベンジル酸転位反応によりC1位のα-tert-アミンを含むパクタマイシンの高度に官能基化されたシクロペンタン環を効率的に合成できることを見出した。引き続き2位及び3位の窒素官能基の導入について検討を行い、パクタマイシンの全合成を目指す。
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