研究課題/領域番号 |
20K05527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畑中 翼 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (80595330)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 小分子活性化 / 第一遷移系列元素 / 多核錯体 / 低原子価 / 窒素分子活性化 / 酸素分子活性化 / C-H結合活性化 / 触媒的小分子変換反応 / C-H結合活性化反応 / C-H結合修飾反応 / 還元反応 / 電子供与性配位子 |
研究開始時の研究の概要 |
低原子価多核錯体を用いることで、第一遷移系列元素による不活性な小分子の変換反応を目指す。2電子以上の多電子の授受を苦手とする卑近な金属元素を用いて、窒素分子、二酸化炭素、アルカンなどの小分子の活性化を達成するために、本研究では電子供与性の高い配位子を有する低原子価多核錯体に着目する。申請者が合成した独自の錯体を用いて、それらの基質活性化および変換反応を段階的に行い、反応機構の詳細を明らかにするとともに、より実用性を高めるべく触媒化にも挑戦する。
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研究成果の概要 |
本研究では、第一遷移系列元素を用いた小分子変換反応において新たな方法論の確立に取り組んだ。具体的には、メタロセンビスアミド配位子を導入した鉄やコバルト錯体を合成し、さらに還元することで低原子価錯体へと誘導した。得られた錯体は高い反応性を有しており、窒素分子変換反応が触媒できることが明らかとなった。大環状配位子を用いた検討では、独自に合成した二核鉄または銅錯体を用いることで酸素分子活性化とそれに続く有機基質の酸化反応が段階的に行えることを見出した。またカルボキシレート配位子を導入した鉄錯体は天然の非ヘム鉄酸化酵素の構造を非常に高い精度で再現できていることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では新奇性の高い配位子を用いて力量のある錯体合成を行うことで、既存の錯体分子とは大きく異なる立体構造および電子構造を持つ反応活性な多核錯体を数多く得ることができた。また、それらの錯体の性質や反応性を詳細に明らかにしており、他の研究者が第一遷移系列錯体に関する研究を今後展開していく上で重要な指針となることが期待される。今回得られた第一遷移系列多核錯体による小分子変換反応に関する知見は、天然で行われている同様の反応の機構を理解するのに役立つほか、社会的にインパクトのある有益な触媒開発の足掛かりにもなりうる。
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