研究課題/領域番号 |
20K05533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
中井 美早紀 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (40527115)
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研究分担者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (60011186)
小倉 俊一郎 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (90343160)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | Co(III)錯体 / 低酸素腫瘍細胞 / 抗がん薬 / レドックス制御 / コバルト(III)錯体 / 低酸素部位蓄積性官能基 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化状態によって安定性等、大きく性質が変わる金属錯体の生体内でのレドックス挙動を活用する金属錯体プロドラッグは、重篤な固形がんに存在する低酸素腫瘍細胞をターゲットとするがん治療の新戦略とみなされる。 本研究では、錯体の酸化還元電位の精密制御および低酸素部位指向性置換基の導入による次世代低酸素腫瘍細胞高選択性Co(III)錯体プロドラッグの創出を行い、さらには医師主導治験のための前臨床データの蓄積を目的としている。新規Co(III)錯体が臨床試験へ展開できれば、患者の生存期間の限界を決めているシスプラチン耐性株克服に大きく貢献できることが期待される。
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研究成果の概要 |
Co(III)錯体ならびにCo(II)錯体は、これまで細胞毒性はなく、抗がん作用を持つ配位子を組み合わせることにより、drug delivery systemとして用いられてきた。本研究では、細胞毒性のない配位子をもつポリピリジル炭酸Co(III)錯体が、細胞毒性ならびに特に低酸素腫瘍細胞に細胞毒性を持つことを見出し、Co(III)錯体自体に抗がん作用を持つことを見出した。特に還元剤であるアスコルビン酸との反応性が早い4-methyl-1,10-phenantlorine配位子を持つCo(III)錯体が低酸素腫瘍細胞に対して、最も強い細胞毒性を持つことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
低酸素腫瘍細胞は、がんの浸潤や転移といった、がんの悪性化につながるにも関わらず、シスプラチンなどの従来の抗がん薬に対して耐性を持つ。また、溶存酸素を利用する光線力学的療法や、放射線治療も効果が期待できず、低酸素腫瘍細胞に効果的な抗がん薬の開発がの望まれている。Co(III)錯体自体が、従来抗がん作用はないと報告されてきた。しかしながら、Co(III)錯体自体の抗がん作用と抗がん作用メカニズムが解明されれば、低酸素腫瘍細胞の治療に加えて、今まで抗がん薬として開発されてきたPt錯体、Pd錯体、Ru錯体のような、高価な金属に代わって、安価な抗がん薬の開発につながる。
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