研究課題/領域番号 |
20K05566
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
堀田 弘樹 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80397603)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 海水溶存二酸化炭素 / 赤外光導波路 / 水中溶存有機化合物 / 赤外光導波路センサー / 溶存二酸化炭素 / 赤外吸収 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、申請者が最近開発した赤外光導波路センサーを用いて、環境水中に溶存する化学種を、赤外検出によって分析する手法の確立を行うことである。 第一に、海水中溶存CO2の定量法を確立する。申請者は水中で平衡状態にあるCO2の赤外吸収による形態別分析を実現したが、海水分析に適用できる検出感度を得ることが第一の課題である。 第二に、環境水中溶存有機物の赤外検出システムの作製を行う。水中に溶存したアルコール、アセトニトリルはじめ種々の溶存有機化合物について定量性を評価し、特に環境影響が危惧される水中溶存化学種の分析に適用した分析システムを構築する。
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研究実績の概要 |
水溶液中の二酸化炭素に対する本センサーの検出感度を高めるために、これまで使用してきたフッ素系樹脂膜に変えてポリメタクリル酸系膜を用いた検討を行った。 メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル膜を主剤とするポリマー膜を作製した。それぞれの検出限界(測定上限濃度)は、0.55 mmol/L(20 mmol/L)、0.49 mmol/L(20 mmol/L)、0.45 mmol/L(20 mmol/L)であった。炭素鎖の長さを変えたことによる検出感度の変化はほとんどなく、それぞれ同程度の検出限界を示した。膜の疎水性が検出にほとんど影響していないことが示された。 そこで次に、ポリメタクリル酸ブチル膜に金属有機構造体であるZIF-8を入れ検出感度の向上を図った。ZIF-8は二酸化炭素を吸着する性質を持つことが知られているため、センサー膜内に取り込まれる二酸化炭素の量が多くなることが期待された。その結果、検出限界(測定上限濃度)0.097 mmol/L(0.5 mmol/L)検出感度の向上が見られたが、高い濃度において直線性を示さず、測定上限は非常に低くなった。多少の感度向上が見られたためZIF-8による二酸化炭素吸着の効果が出ているものと考えられる。 一方、水溶液中に溶解した有機溶剤の検出について検討を行った。メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドについて測定を行った。これらの有機物が数%~30%程度の範囲において良好な直線性の高い検量線が得られ、定量法として十分な機能を持つことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により学生が実験室に来て実験することが制限されたことによる遅れ、装置の経年劣化による不調による実験の遅れは否めない。しかし、当初予定していたポリメタクリル酸系膜の検討や水中溶存有機溶剤の検出についての検討が行えたことからおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
二酸化炭素の検出において検出感度の向上が当初からの課題であった。二酸化炭素吸着の効果が知られるZIF-8の効果による検出感度の向上が見られたことから、二酸化炭素の吸着が期待される化合物を膜内に取り込み製膜することでより高い感度の向上が期待される。 水中溶存有機化合物の検出については、これまで常温で液体である有機化合物のみ検討してきたが、様々な化合物種を検討しその検出可能範囲の拡大検討を行う。
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