研究課題/領域番号 |
20K05578
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
松本 和也 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70467025)
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研究分担者 |
片桐 洋史 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40447206)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 白金族金属 / 第一級アミン / イオン結晶 / 多孔質触媒 / 酸素発生反応 / レアメタル / 多孔質 / 触媒 / 選択回収 |
研究開始時の研究の概要 |
白金族金属は産業的価値の高い金属資源であり,効率的な利用とリサイクルが必要不可欠である。本研究では,第一級アミン化合物と白金族金属がイオン結晶を形成することを利用し,これまでにない金属選択性をもつ白金族金属回収技術を確立させる。さらに,白金族金属を含むイオン結晶の焼成による簡便なナノ多孔質触媒の作製法の確立と触媒能評価に取り組み,白金族金属の選択的な回収と効率的な活用の両方を実現させる。
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研究実績の概要 |
本研究では,白金族金属の塩化物錯アニオンと第一級アミン化合物がイオン結晶を形成することを利用し,新たな金属回収法を開発するとともに,イオン結晶の焼成により高活性な多孔質触媒の作製を行うことを目的とする。 令和4年度は,イリジウム含有イオン結晶の焼成による多孔質酸化イリジウム作製について詳細に検討を行った。焼成温度をコントロールすることで,イリジウムの酸化状態および結晶性を変化させることが可能であった。電気化学測定により,得られた多孔質酸化イリジウム触媒の酸素発生触媒能を評価したところ,非常に低い過電圧を示すことが判明した。優れた酸素発生触媒能を示すことが知られている市販の酸化イリジウム触媒よりも優れた性能であることも明らかとなった。さらに,イリジウム含有イオン結晶をカーボンブラックと混合させてから焼成することで,カーボン担持酸化イリジウム触媒が作製できることが判明した。この触媒は,多孔質酸化イリジウム触媒よりも比表面積が大きく,少量でも優れた酸素発生触媒能を示すことが明らかとなった。 白金族金属以外のレアメタルについて,第一級アミン化合物による回収が可能かどうかを検討したところ,レニウムの沈殿回収が可能であることが判明した。レニウムのリサイクル時に共存するアルミニウムやバナジウム,コバルト,ニッケルといった金属を含む塩酸溶液から,芳香族第一級アミン化合物を沈殿剤として用いることで,レニウムのみを選択的かつ定量的に沈殿回収できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで第一級アミン化合物を用いることで白金族金属の選択回収が可能となることを明らかにしてきたが,今回新たに白金族金属以外のレアメタルについても選択回収できることが判明した。本研究の金属選択回収法は汎用性が高いということを示すことができた。また,本研究により作製した酸化イリジウム触媒は市販の高活性触媒よりも優れた酸素発生触媒能を示すことが分かり,触媒作製法として優れていることが明らかとなった。以上の結果から,本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究においては,新たな金属選択性を発現する回収剤の構造を探索するとともに,これまで開発した金属回収剤について回収条件の最適化による金属の高純度化について検討を行う。また,イリジウム以外の金属の多孔質触媒化や複数の金属を組み合わせた合金化についても検討を行う。
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