研究課題/領域番号 |
20K05587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中谷 久之 長崎大学, 工学研究科, 教授 (70242568)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 生分解プラスチック / ポリプロピレン / ポリ乳酸 / 海中 / スイッチ機構 / 海洋生分解 / 珪藻 / 油分 / ポリオレフィン / 海洋分解性 |
研究開始時の研究の概要 |
生分解開始のスイッチ機構を有する海洋生分解性PP/PLAブレンドの開発を行う。TEMPOと動的共有結合したTEMPO-PPおよびTEMPO-PLAの組み合わせを相溶化剤並びに生分解開始スイッチとしてブレンドに添加する。成形時に両種の動的共有結合が熱で一部外れてラジカル化する。生成した異種ポリマーラジカル同士が結合して相溶化剤となる。残りの動的共有結合部が加熱処理で外れてラジカルに戻り、生分解開始のためのスイッチとなる。スイッチ発動後に水中に投入後、autoxidationを加速させる仕組みを組み込んで発現させることで、海中で迅速に生分解できるPP/PLAブレンドを完成させる。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、動的共有結合と自動酸化反応からなる“スイッチ機構”を使い、海中で生分解できるポリプロピレン(PP)/ポリ乳酸(PLA)ブレンドの開発である。成果としては、1)ドーマント結合をスイッチとして利用し、水中で生分解率は約20%を示した。2) 弱アルカリ性の海水中では生分解率は1/10まで低下し、中和により自動酸化反応が働かないことが分かった。3) 海中での新たな生分解法の検討を行った。その結果、珪藻や一部のバクテリアがブレンド中のPP成分を選択的に食べることを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スイッチ機構により生分解するPP/PLAは、水中では機構が働き、迅速に生分解した。しかし、海はアルカリ性のため、機構が作動しないことが分かった。一方、海中でもバイオフィルムが形成されたPP/PLAでは、珪藻によるPP部の選択的な摂食が起こることも同時に確認した。この挙動は、バイオフィルムもしくは珪藻がpHを低下させてスイッチ機構を作動させたためと考えた。以上、本研究の成果は、このpHを低下させる挙動を利用した新たな科研費テーマの発想に繋がった。またこの挙動は、海洋中、約3年でMPが消失する現象と関係していると推定している。地球環境保全に貢献できるという点で社会的意義が大きい成果でもある。
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