研究課題/領域番号 |
20K05602
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
宮川 淳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60469921)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | βグルカン / 免疫賦活化 / オリゴ糖 / ノルボルネン / 高分子修飾 / マクロファージ / シゾフィラン / 免疫活性化 / グリコシル化 / アニシリデン基 / 開環メタセシス重合 / マルトース / マルトース結合タンパク質 / 水晶振動子マイクロバランス / 高分子合成 / 糖鎖合成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生物の免疫を活性化する多糖βグルカンがその認識タンパク質Dectin-1と結合して活性を発現するために必要な分子構造を、合成疑似βグルカンを用いて解明し、免疫療法に有効な化合物を合成する基礎を築く。そのために分岐鎖を有するβグルカンオリゴ糖を化学合成し、このオリゴ糖を高分子化して、分子量・糖密度・形態が異なるβグルカンを模倣した高分子を得る。これを用いて分子構造の違いによるDectin-1との結合を解析し、免疫活性化に必須であるDectin-1の集積化を誘導できる分子構造を明らかにする。その結果、免疫を正確に制御して活性化する人工的なβグルカンを合成し、免疫療法を可能にする。
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研究成果の概要 |
βグルカンによる免疫活性化に関わる膜タンパク質であるDectin-1に結合する最小単位のβグルカンオリゴ糖の合成において、ベンジリデン類保護基を2種類用いた分岐鎖を導入可能なオルトゴナルな合成方法を開発した。そこで合成したβグルカンオリゴ糖を高分子化し、さらにその高分子主鎖を修飾することで物性の異なる高分子群を構築した。マウスのマクロファージを用いて、この高分子群の免疫活性化能を評価し、天然βグルカンの生物活性を模倣した結果を得ることができた。 本手法は中性多糖の模倣として、有効な手段となり、βグルカンのもつ免疫活性化能を人工的に模倣した分子を生み出すことが可能となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究ではベンジリデン類保護基を活用して、分岐鎖を有するオリゴ糖の合成を達成した。この成果はベンジリデン保護基の利用範囲を拡大し、オルトゴナルな合成への選択肢を増やしたことで、複雑な化合物の合成に利用できる。 また多様な構造をもつ天然のβグルカンを模倣するため、βグルカンオリゴ糖を有する高分子を合成し、その高分子修飾を行うことで物性が異なるが、基本構造が同じ高分子ライブラリー化を行った。それを用いて、対象となるDectin-1との結合およびマクロファージの活性化に最適な構造を明らかにした。 この成果により免疫を活性化する分子設計に指針を示すことができ、合成分子による抗腫瘍薬の開発につながる。
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