研究課題/領域番号 |
20K05609
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉岡 直樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30222392)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ニトロキシド / 電子機能 / 構造磁性相関 / 有機結晶 / 分子磁性 / スピン整列 / チオフェン / π共役系 / 磁性半導体 / 安定有機ラジカル / 構造ー磁性相関 / π共役高分子 / 高分子磁性半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
金属の鉄、黒さびの酸化鉄はいずれも磁石に引きつけされる性質を持つが、電気の流しやすさは大きく異なる。電子の持つ特性を活かした機能材料として、すでに電気を流すプラスチックや磁石に吸い付く有機物が見出されてきた。これらふたつの電子の機能が分子レベルで融合することができれば、電荷とスピンの特性が共存した新しい機能材料をデザインすることができる。この研究では、電気を流す役割をもつ電荷と磁石の特性の源となるスピンを共存した有機物を開発することを目指している。
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研究成果の概要 |
本研究では、局在型および非局在型スピン中心が共存した分子系を構築し磁性半導体の特性を有する分子機能材料の創製を目指した。具体的には、局在型スピン中心としてテトラメチルピロリンオキシルを選択し、これをオリゴチオフェン骨格と縮環させた後、イオンラジカルを発生させ、その磁気特性を検討した。 生成物の化学的安定性は、オリゴチオフェン骨格の置換基の種類に大きく依存した。イオンラジカル発生前後での溶液ESRスペクトルの変化から局在型ラジカルと非局在型ラジカル間にスピン交換が認められたが、固体状態ではイオンラジカル間の強い反強磁性的な相互作用が優勢となり、局在型スピン中心由来の磁気特性のみが観測された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
導電性プラスチックなどの材料は既に実現しているが、磁石になる有機材料の開発は発展途上である。このような材料では、電荷やスピンが自由電子のようなはたらきをしている。この研究では、分子の中で孤立した不対電子をもつ骨格を含む系に電荷とスピンを発生させ、どのような電子的な変化が現れるか検討した。電荷とスピンを化学的に発生させた状態の安定性は、分子の化学構造に大きく依存することが明らかとなった。溶液状態では、不対電子間に磁気的な相互作用が見られたが、固体状態にすると孤立した不対電子のみの挙動に変化した。自由電子的に振る舞う電荷とスピンの状態を今後改良し、導電性の有機磁性材料が実現することが期待される。
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