研究課題/領域番号 |
20K05618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 (2021-2022) 信州大学 (2020) |
研究代表者 |
金山 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (80377811)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | DNAブラシ / 末端構造 / スタッキング相互作用 / 光ピンセット / リン酸化 / ブラシ間力 / DNA / ブラシ / 末端スタッキング / 末端リン酸化 / リン酸基 / 粒子間力 / 水和 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、申請者らが最近見出した、ブラシ状のDNA鎖における末端スタッキング促進現象に基づき、DNA末端のリン酸化状態に応じて明瞭な色変化を示す呈色試薬の新原理を確立し、そのDNA末端リン酸化プローブとしての有用性をリン酸化・脱リン酸化酵素の活性評価を通じて検証する。RI標識に依らず、操作性・スループット性に優れた末端スタッキング駆動型DNA末端リン酸化プローブの開発は、疾病診断や薬剤探索の新たなツールの提供に繋がるものと期待される。
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研究実績の概要 |
本課題は、ブラシ状に集積したオリゴDNA鎖(以下、DNAブラシ)において明らかになりつつあるDNA二重鎖間の末端構造選択的なスタッキング促進現象に基づき、サンプルDNAにおける末端リン酸化状態に応じて明瞭な色変化を示す呈色システムの新原理の確立を目的としている。本年度は昨年度から引き続き、直径2マイクロ・メートルのラテックス粒子表面に形成させたDNAブラシを対象とし、DNA二重鎖末端間におけるスタッキング促進現象に末端リン酸基が及ぼす影響を評価した。昨年度までの検討において、DNAブラシを構成する一本鎖オリゴDNA鎖が平滑末端構造の二重鎖となるよう配列設計した相補鎖を添加し、さらに溶液(分散媒)の塩濃度を高めた場合に、DNAブラシ間にDNA二重鎖末端同士のスタッキング促進現象に基づく引力的な相互作用が生じることを、光ピンセットを用いた粒子間力計測より明らかにした。そこで本年度は、完全相補配列で且つ末端がリン酸化されたサンプルDNAを使用することで、DNAブラシ内に形成されるDNA二重鎖の末端にリン酸基を付与した。これまでの検討において、DNAブラシの二重鎖形成率は僅か数パーセント程度であることが確認されており、今回の検討で形成された末端リン酸化DNAブラシは、末端にリン酸基が付与された二重鎖と一本鎖が混在した構造であると推定される。末端リン酸化DNAブラシで覆われたラテックス粒子間に生じる相互作用について、溶液の塩濃度依存性を評価したところ、末端リン酸基を付与してない場合と比較して、粒子間引力が発生する臨界塩濃度が有意に上昇することを確認した。この結果は、末端リン酸基の付与によりDNA二重鎖末端間スタッキングが抑制されることを意味し、本課題で提案する末端スタッキング駆動型DNAリン酸化プローブ設計の妥当性を支持するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R3年度に研究代表者が所属機関を異動した影響で、研究環境の再整備に時間を要したものの、本課題のベースとなるDNAブラシ間の末端構造選択的なスタッキング促進現象に関して、DNA末端リン酸化プローブの設計指針に繋がる基本的な知見を誌上発表としてまとめた。更に、末端スタッキング現象に及ぼす末端リン酸基の影響を明らかにしつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討から、本課題で提案する末端スタッキング駆動型DNAリン酸化プローブ設計の妥当性を示すことができた。今後は、本プローブ設計をもとに明瞭な可視情報を与えるDNA鎖リン酸化プローブを試作し、その有効性を検証する。
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