研究課題/領域番号 |
20K05623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
浅井 誠 慶應義塾大学, グローバルリサーチインスティテュート(三田), 特任教授 (80609941)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | コロイド / ナノ粒子 / 高分子 / 自己組織化 / 分子動力学 / 結晶 / 相転移 / ソフトマテリアル / ゆらぎ / ゲル |
研究開始時の研究の概要 |
高分子ナノコンポジット材料は, 高分子の柔軟さとナノ粒子の剛性を兼ね備えた複合材料であり, 物性制御された最先端機能性材料として期待されている. そのような機能性の制御には, ナノ粒子の空間配置を高度に制御することが必要である. 本研究では, ナノ粒子に「形状ゆらぎ」という新しい概念を導入する. 「形状ゆらぎ」は, ナノ粒子表面に修飾された高分子鎖の熱ゆらぎに起因し, ナノ粒子間に複雑なエントロピー相互作用をもたらす. これによって, ナノ粒子の未知の秩序相を見出す. 形状ゆらぎが秩序化に及ぼす影響を系統的に調べた研究例はなく, 本研究は物性物理学に新しい知見をもたらすことが期待される.
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研究実績の概要 |
高分子グラフトナノ粒子(Polymer Grafted Nanoparticles: PGNPs)は、無機物であるナノ粒子を高分子バルクの中に固定化させることができるため、無機と有機物の利点を併せ持つ高機能性高分子材料として注目を集めている。特に、高分子バルク中でナノ粒子に秩序構造を持たせることで、さまざまな熱的・光学的特性を制御できることが示されてきた。しかも、PGNPsは、我々の先行研究において、ナノ粒子表面にグラフトされた高分子鎖の熱的な揺らぎによって、ナノ粒子間に複雑なエントロピー相互作用をもたらすことがわかっており、その相互作用を制御することで、多彩な秩序構造を形成する可能性が示されてきた。さらに、PGNPsは星型高分子とのアナロジーで、その濃縮系においてダイヤモンド構造を形成する可能性が考えられており、メタマテリアルとしても利用できる可能性がある。そこで2022年度は、PGNPSの凝集体であるPGNPs膜の構造を分子動力学シミュレーションを用いて調べた。その結果、ダイヤモンド構造の一つ手前のBCC構造を得ることができた。この結果は、分子動力学法で初めてPGNPsがBCC構造に相転移することを直接的に観測した初めての事例としてSoft Matter誌に掲載された。また、本結果はSoft Matter誌のFrontカバー論文として選出された(M. Ishiyama, M. Asai, et al., Soft Matter, Vol.18, 6318-6325 (2022))。現在はさらにPGNPs膜を濃縮することで、ダイヤモンド構造を得られるかどうかを検証していている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PGNPsの結晶相転移を分子動力学法によって再現するには、計画当初に想定していたよりもずっと大きな系の計算をする必要があることがわかってきた。理由としては、ナノ粒子にグラフトしている高分子の分子量を十分に長くしないと、高分子間の相互作用が十分に大きlならずBCCにさえ相転移しないためである。想定よりも大きな系を計算する必要があるため、計画よりは計算時間がかかってしまっているが、大学のリソースを活用して高性能サーバーを利用することができているため、計算を進める上では大きな問題は生じておらず、概ね順調にプロジェクトは推移していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
現在のリソースを活用し順次計算を実行していくことで、大きな問題が生じることはないと判断します。また、本研究プロジェクトでは、ゲルの自己組織化についても研究を進めているが、こちらに関しては、論文化の準備が整っているので、2023年度に論文投稿を進めていく予定である。
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