研究課題/領域番号 |
20K05625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
長谷川 伸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員 (60354940)
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研究分担者 |
廣木 章博 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員 (10370462)
前川 康成 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所, 副所長 (30354939)
澤田 真一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員 (70414571)
奥島 駿 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 研究員(任常) (80805672)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 放射線グラフト重合 / 芳香族炭化水素高分子 / 結晶化度 / ラメラ周期構造 / 芳香族炭化水素 / 重合反応機構 |
研究開始時の研究の概要 |
耐熱性及び機械特性に優れた芳香族炭化水素高分子へ、イオン伝導性等の機能をグラフト重合により付与した多機能型芳香族炭化水素高分子膜の創出を目的とする。具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)膜に加え、これまで高グラフト率が得られないポリフェニレンスルフィド(PPS)や、ポリベンゾイミダゾール(PBI)等の芳香族炭化水素高分子へ加熱や溶媒アニール等の前処理を行い、ラメラ等の結晶モルホロジーの制御と重合過程での結晶モルホロジーをモニターすることで最適な反応進行条件と、重合反応のキーとなる重合因子を見出し、様々な芳香族炭化水素に適用可能な多機能型芳香族炭化水素高分子の製造方法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、耐熱性及び機械特性に優れた芳香族炭化水素高分子へ、イオン伝導性等の機能をグラフト重合により付与した多機能型芳香族炭化水素高分子の創出と、反応機構に関する因子の解明を目的とする。今年度は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)膜へのスチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)の放射線グラフト重合について検討した。PEEK膜へのETSSグラフト重合では、熱アニーリングによって制御できる結晶化度とラメラ形成がその重合速度と到達グラフト率に重要であり、ラメラ形成しない結晶化度11~25%の膜はグラフト重合性を示すのに対し、30%以上では殆ど重合しないことを既に報告した。一方、50℃のDVB(DOXの50重量%溶液)で18時間処理した低結晶性PEEK膜(l-PEEK、市販品、結晶化度11%)では、24時間でのグラフト率が、l-PEEK(前処理なし) 45%に対し、190%に向上した。 今回、溶媒前処理効果を調べるため、DOXのみで同様に前処理したPEEK膜について、同条件でのETSSグラフト重合は、24時間でグラフト率190%とほぼ同様の重合促進効果を示したことから、溶媒アニーリングによる基材の構造変化が重合促進に重要であることが明らかとなった。そこで、溶媒処理したPEEK膜の結晶化度と小角X線散乱(SAXS)を測定し比較検討した。 溶媒処理膜の結晶化度は20-22%と、熱処理によるグラフト重合性を示した結晶化度の範囲であった。SAXS測定より、ラメラ周期構造に相当する相関長9.5 nmのピークが出現した。これは、熱処理で現れる相間長14nmの半分程度であり、散乱強度も低いことから、周期性の弱い新たなラメラ相の形成を示唆している。すなわち、溶媒アニール処理によるl-PEEKの結晶化度20%程度で、周期性が低く、短いラメラ構造が、グラフト重合に有利であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画において、グラフト重合反応が殆ど進行しない芳香族炭化水素高分子であるポリエーテルエーテルケトンにおいて、ラメラ周期構造の制御によるグラフト重合反応の加速効果に対するの詳細な関係が新たに見いだせた。
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今後の研究の推進方策 |
ポリエーテルエーテルケトンへのグラフト重合反応における加速効果について、これまでは、プロトン伝導性を有するグラフトモノマーについて検討した。今年度は、アニオン伝導性誘導体構造を有するグラフトモノマーについて、ポリエーテルエーテルケトンへのグラフト重合反応とラメラ周期構造の反応機構を検討する。加えて、ポリスチレンスルフィド等、その他の芳香族炭化水素高分子についての放射線グラフト重合反応と反応機構についての解明を検討する。
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