研究課題/領域番号 |
20K05643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
二木 かおり 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (10548100)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 角度分解光電子分光 / 光電子運動量マップ(PMM) / 分子薄膜 / 表面科学 / 有機分子 / 電子状態 / 波数分解光電子分光法 / 分子間格子振動 / 波数分解光電子分光 / 有機半導体薄膜 / 波動関数 |
研究開始時の研究の概要 |
持続可能な開発目標(CDGs)を達成するためにも、次世代物質の開発は欠かせない。光エレクトロニクス分野において有機半導体薄膜の応用研究が進歩する中、「どのようにして、有機半導体薄膜中を電子がながれるのか?」という伝導機構は明らかになっていない。近年、実験の進歩により、電子と結晶全体の原子の振動の相互作用が、伝導性に寄与することが明らかになってきた。これを説明する理論計算機構の構築が強く求められているが、まだ試行錯誤が続いている。本研究は、その理論解析手法を確立することを目的としている。研究結果は伝導機構を解明し、有機半導体の伝導性の向上に寄与できると期待する。
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研究実績の概要 |
X線光電子分光の検出器の進化と薄膜作製技術の進歩により、2010年代初頭には分子薄膜に対する光電子分光測定が可能になった。観測精度の劇的な向上と、照射時間の短さゆえこれらのデータ(光電子運動量マップ:PMM)は、分子薄膜の伝導性に関する豊富な情報を含んでいる。また、これまで明らかでなかった電子状態が多くの物質で報告されている。これに対して、解析手法は多くの近似が用いられ、改善が強く求められている。 申請者は実験と計算グループの国際共同研究から、分子薄膜のダイナミクスが光電子に与える影響を解析してきた。これまでにTiSe2上に吸着したCuPcから放出された光電子の運動量マップを測定し、解析をしてきた。 申請当初の目的が以下4点であった。 1分子結晶中を伝搬する電子に、分子のダイナミクスが与える影響の大きさを計算する。2分子のダイナミクスの影響を受けた光電子の運動量マップを求める。3分子結晶表面・界面や、結晶を構成する分子の配向方向を調べる手法を開発。4これらのプログラムを第一原理計算ソフトと組み合わせる。 この解析から、励起光照射後に、基板と分子間で電子がやり取りされる様子に加え、吸着分子が回転し始めることを明らかにした。我々の開発した解析手法は、光照射下の分子の構造変化に加え、電子状態変化を同時に測定できる。つまり、分子ムービーの撮影に成功した。この成果は注目を集め、2023年度に論文として発表された。この内容を基に数々の招待講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初の目的である1,2,4に関しては、2020年~2023年の研究成果をまとめ、論文として採択された。申請当初の目的3に関しても2020年~2023年の研究により、理論式とプログラムはでき上がった。これをより複雑な分子へと拡張して、論文にまとめて投稿する。
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今後の研究の推進方策 |
申請当初の目的3について、分子薄膜上の分子の形状を明らかにする手法を昨年度までに、理論・プログラムを確立した。これを今年度、分子薄膜の一つのピセンに拡張し、配向分布をPMMから明らかにする手法を確立し、論文として投稿する。
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