研究課題/領域番号 |
20K05658
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
松嶋 雄太 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (30323744)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 蛍光体 / 結晶構造 / ランダム性 / 3d遷移金属イオン / 深赤色 / 深赤色蛍光体 / 分子動力学シミュレーション / 分子軌道計算 / 不規則性 / 電子状態 / 構造緩和 / フッ素ドープアルミン酸リチウム / 構造のランダム性 / 深赤色蛍光 / 3d遷移金属蛍光体 / 欠陥型無秩序スピネル |
研究開始時の研究の概要 |
分子動力学シミュレーションと分子軌道計算に基づく計算科学的アプローチと、X線回折法をはじめとする実験科学的アプローチを組み合わせ、フッ素ドープアルミン酸リチウム(ALFO)母体結晶中の構造のランダム性(原子の無秩序分布と構造乱れ)を明らかにし、ALFO中の3d遷移金属イオンの深赤色発光に与える影響を解明する。そして、発光メカニズムに基づく材料設計を利用して高性能な深赤色蛍光体を実現する。
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研究成果の概要 |
3d遷移金属イオンを発光中心とする深赤色蛍光体の開発を行った。新たに開発したフッ素ドープアルミン酸リチウムを母体化合物に、Cr3+、Mn4+、Fe3+を微量添加した際にそれぞれの発光中心イオンが発する深赤色蛍光のメカニズムを結晶構造の観点で明らかにした。X線回折法やX線吸収法などの構造解析、ESRなどの局所配位環境に関する分析法、そして分子動力学シミュレーションに基づく結晶構造の可視化を行った。その結果、結晶格子中の酸素の1%程度を置換するフッ素が結晶構造の中長距離の秩序性を乱していることがわかった。結晶骨格中に、局所的に導入される構造無秩序性が発光特性向上をもたらすことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
深赤色は希土類イオン発光中心が苦手とする領域の発光であり、3d遷移金属イオンを用いた深赤色蛍光体の開発は、単に「希土類元素を使用しない」という資源的な利点だけでなく、「希土類では出せない赤」の実現につながる。基本的な原子の配列である結晶構造にまでさかのぼって発光効率が向上するメカニズムを明らかにしたことで、本材料系に限らずに、蛍光体材料全般における性能向上の材料設計指針を明らかにすることができた。特に、三次元規則配列で定義される結晶の骨格中に局所的な無秩序構造が内包されているという提案は新しいもので、実験的な解析手法と計算科学的なアプローチの融合によりなし得た成果である。
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