研究課題/領域番号 |
20K05666
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
村上 直也 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (10452822)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 光触媒 / トラップ電子 / 光音響 |
研究開始時の研究の概要 |
半導体光触媒中の欠陥サイトに電子が捕捉された状態であるトラップ電子は,反応に寄与しないという認識が強かったが,我々は二酸化チタン光触媒粒子中のトラップ電子の解析を行っていくなかで,比較的多くのトラップ電子が還元反応に利用可能であることを見出した.本研究では,光触媒粒子中に存在するトラップ電子の反応機構を明らかにするとともに,これらを有効活用することによって,新たな光触媒反応系の構築に取り組む.目的を達成するために,懸濁系反応場におけるトラップ電子のエネルギー状態を解析可能な光音響分光分析を確立するとともに電子蓄積・放出反応からなる2段階の反応を行い,従来反応に対するアドバンテージを示す.
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研究成果の概要 |
本研究では,半導体粒子中に存在するトラップ電子のエネルギー準位の解析や懸濁系の反応下におけるトラップ電子の生成・反応過程の観測を行った.様々な反応条件での分析を行うことによって,トラップ電子には伝導帯への励起プロセスを経由せずに,直接反応するプロセスが存在し,それらはアクセプターの種類に大きく依存していることを明らかにした.また,トラップ電子を有効活用することによって,新たな光触媒反応系の構築に取り組み,ニトロベンゼン還元によるアニリン生成,硝酸イオン還元によるアンモニア生成,二酸化炭素還元によるメタノール生成,および,助触媒添加による水素生成反応が進行することを確認した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究を遂行するために開発された分析系は,光触媒をはじめとする半導体材料の解析手法として有効であり,水分解による水素製造や二酸化炭素の資源化を可能にするようなエネルギー変換型の光触媒材料などの設計にも役立つと考えられる.また,本研究で構築した反応系は,これまで反応に寄与することはないと考えられていたトラップ電子を活用し,電子蓄積反応と電子放出反応の2段階の反応を行うことにより,酸化と還元の時間的な分離を行ったものである.これは,光触媒反応で問題となっている逆反応を根本的に解決する方法として有効であり,高選択的な光―物質返還へ応用できる可能性がある.
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