研究課題/領域番号 |
20K05682
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 電気通信大学 (2022-2023) 東京大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
宮下 直也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20770788)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 希釈窒化物半導体 / III-V族化合物半導体 / 太陽電池 / マルチバンド材料 / 中間バンド / 高不整合混晶 |
研究開始時の研究の概要 |
中間バンド型太陽電池の高効率動作には「中間バンドを介したキャリアの2段階励起レート向上」と「キャリア再緩和抑制」の両立が不可欠である。中間バンドにおける高い状態密度を担保するため、本研究ではマルチバンド材料であるIII-V:N型の希釈窒化物半導体を採用する。研究指針として、中間バンド(E-バンド)を介したキャリアの遷移に対して、エンジニアリングの余地がある「結晶歪み」と「構造制御」に着目し、上記2つの要素を両立できる中間バンド構造を研究し、高効率動作を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究はマルチバンド材料である希釈窒化半導体GaInNAsに着目し、中間バンドを介した2段階励起レート向上と再緩和抑制に向けた検討を行った。高効率太陽電池動作に向け、光吸収層設計においてエンジニアリングが可能な「結晶歪み制御」と「構造制御」に着目し、GaInNAs系多重量子井戸構造の検討を実施した。 GaInNAs系混晶では一般にN添加に起因する結晶欠陥の抑制が、光学特性の改善に向けた重要な課題となっている。試料作製には分子線エピタキシー法を用い、GaInNAs/GaNAs系歪み制御型多重量子井戸(MQW)、およびGaInNAs/AlGaAs系ワイドバリア型MQW構造の精密制御手法を確立した。GaInNAs系バルク薄膜においては発光効率が低く、欠陥の低減に有効なポストアニール処理を行うことで、発光性能の改善を図ることができる。本研究で開発したGaInNAs/GaNAs系MQWでは、ノンアニールでも室温発光が得られる品質のMQW構造の成膜が可能であることを見出した。また、i層にこのMQW構造を適用したノンアニール太陽電池においても良好な電流電圧特性を得た。バルク薄膜結晶と比較して、MQW構造では光励起キャリアの再結合の抑制に有利であることが示唆された。 本年度はGaInNAs/AlGaAsワイドバリア型MQWの検討を行った。PL励起光強度依存性評価において、障壁層としてGaAsよりも高バンドギャップのAlGaAsを用いた試料において、励起強度の増大に対してキャリアの熱的な脱出が抑制される効果が示唆された。また、GaInNAs/AlGaAs MQWにおいて、周期構造の熱的な安定性が高いことを見出した。周期構造の乱れを最小化させながら、アニール処理による結晶性のさらなる向上も可能であること示す結果といえる。
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