研究課題/領域番号 |
20K05741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安野 理恵 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30392674)
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研究分担者 |
三谷 恭雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ付 (10358103)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 発光生物 / ルシフェラーゼ / ゴカイ / 生物発光 |
研究開始時の研究の概要 |
発光ゴカイは、外的刺激応答や求愛行動として鮮やかな青緑色(510nm)の発光液を海中に分泌する。長年、未解明のままだった生物発光現象であるが、申請者らはルシフェラーゼ遺伝子の同定に成功し発光機構解明の手掛かりをつかんだ。発光ゴカイは既知の生物発光とは異なる発光分子を有しており、また予備試験の結果からも新奇の発光機構を持つことが示唆されている。本研究では、in vitroの発光系を確立し、各種生化学的解析を行う。同時にルシフェラーゼの結晶構造解析、組織化学的解析をすすめ、発光ゴカイの新奇発光機構を分子反応機構、および組織構造学的側面から明らかにする。
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研究実績の概要 |
発光ゴカイは鮮やかな青緑色(510nm)の発光液を海中に分泌する発光生物である。1950年代には、ルシフェリン・ルシフェラーゼ分子による発光機構を有することが示されたが、確認されている生息域は世界でも数カ所のみで、それ以降詳細な解析は進められていなかった。本研究では、発光ゴカイの発光分子機構を解明することを目的として、in vitroにおける発光反応の生化学的解析、ルシフェラーゼの結晶構造解析を進める。これまでにゴカイルシフェラーゼの単離、同定に成功し、生体から抽出したルシフェリン溶液と動物培養細胞で発現させたルシフェラーゼタンパク質を用いてin vitro発光系を構築している。ルシフェリン分子については分子構造の報告はあるものの、人工合成系は未だ確立されていないため、生体試料からの粗抽出物を解析に使用する。構築した発光系において、発光反応のpH依存性や温度依存性、塩濃度依存性など、ゴカイ発光反応の生化学的特性の解析を進めている。一方で、得られる発光データに不安定さがみられることから、実験系の精査とルシフェラーゼタンパク質の粗精製を検討している。また、ゴカイルシフェラーゼタンパク質の特異抗体の作成および結晶構造解析に供試するために、ルシフェラーゼタンパク質の大量調整の検討を引き続き進めた。これまで、様々な発現プロトコールの改良や可溶化タグを付加し、組換えタンパク質の細胞外分泌を試みたが効果的な分泌率向上には至っておらず、細胞内または膜タンパク質に蓄積または凝集していると思われる組換えタンパク質の可溶化の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ルシフェラーゼの生化学的特性の解析、結晶構造解析のため、動物細胞発現系による酵素タンパク質の大量発現系の構築を試みた。しかしながら、複数のシグナルペプチドを試行したが、分泌効率の上昇には至らなかった。また細胞内で大量に蓄積し、その多くが凝集体もしくは多量体を形成していることが想定されたために、変性剤と界面活性剤による可溶化を試みたが、酵素活性に大きな変化は見られなかった。細胞粗抽出液でも活性の計測は可能だが、酵素タンパク質の濃度を計測できないため正確な解析結果を得るために精製タンパク質の獲得を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
ルシフェラーゼを発現させた動物細胞の粗抽出液を用いた生化学的試験の結果は、データが不安定であることと、発光の経時変化に不可解な点があることから、His-tagで精製したルシフェラーゼでの再解析を予定している。また、結晶化に供試するタンパク質の調整が困難なことから、立体構造予測モデルを使った予想構造から活性中心付近のアミノ酸変異体を作成・解析し、発光ゴカイの発光分子機構の解明へ繋げる。また、動物細胞発現系でのタンパク質生成だけでなく、植物細胞など他の発現系の生成を検討する。
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