研究課題
基盤研究(C)
近年、抗原とアジュバントの複合化により、効率的な抗体産生が誘導されることが報告され、有望なアジュバント候補であるリピドAと抗原を複合化した合成ワクチンの開発に注目が集まっているが、活性を保持可能なリピドAの修飾法は十分には検討されていない。本研究では、天然LPS構造を模倣する戦略により活性を保持可能なリピドA修飾法を検討し、自然免疫活性化に加え第二の機能を付加した高次機能化リピドAの合成戦略を確立する、さらには自然・獲得免疫を同時に制御可能な分子を創製する。
共生菌ならば低毒性で有用な免疫調節因子を有すると考え、腸管パイエル板共生菌リピドAの化学合成と機能解析により、同リピドAが粘膜ワクチンアジュバントとして非常に有望であることを見いだした。一方で近年、抗原とアジュバントの複合化により、効率的抗体産生が誘導されるというセルフアジュバント効果が報告されている。本研究では、リピドAの免疫活性化能を保持しつつ抗原と複合化し、アジュバント作用を最大限に引き出せるセルフアジュバンティングワクチンの創製を目指した。具体的には、天然構造を模倣する戦略をとり、リピドAとTn抗原を糖鎖ミミックリンカーで複合化することで、免疫活性化能を保持した複合体の合成に成功した。
昨今の新型コロナウイルス感染症の蔓延を契機に、我々の生活様式は大きく変化し、ワクチン開発研究はより一層大きな注目を集めている。ワクチンアジュバントとして有望視されている免疫活性化因子リピドAの高次機能化を目的とした本研究の成果は、革新的ワクチン開発のシーズであり、大きな社会貢献が期待できる。また、リピドAを基盤とした自然-獲得免疫制御分子の創製は、合成化学分野と免疫学分野の双方に学術的貢献が可能であり、非常に意義深いものであると考えている。
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